Image: 191203 VN『どっちの i が好きですか?』(2019年)感想

ビジュアルノベル『どっちの i が好きですか?』(HOOKSOFT / 2019年11月)の感想。18歳未満の方の閲覧はご遠慮下さい。

10月は『スタディ§ステディ』と『同じクラスのアイドルさん。』。11月はこれと『白刃きらめく恋しらべ』(Crystalia)を買ってきた。12月はゆずソフトの新作も含めて、「これは!」というものが無いんだよなぁ。作品の中身は確かに大事だが、それ以前に見た目・印象で購買意欲がそそられてなんぼだ。この時期は3月くらいまでの分を一気に予約してしまうことが多いので、これから深く新作を調べていくところ。

感想

前作の『Eスクールライフ』は従来のHOOKSOFTらしさが色濃く残っていたんだけども、私としてはそのコンセプトもキャラクターもイマイチ魅力を感じなかった。今作は作風がうって変わっているが、それよりもまず、キャラクターと2分岐するコンセプトにハマった。まだ最後までプレイできていない他作品が幾つかあるが、それを据え置いてでもこちらを優先したくなるくらいは期待している。

パッケージ

せっかくパッケージ版を買っているので、こういう感想も今後は入れていこうかなと。

箱はSMEEやAsa Proの最近の作品と同じで片開きの玉手箱方式になっていて、開けやすくなっている。表紙は小柚子の「リードする・される」の2面を表したものだろうか。裏面は作品紹介だが、宣伝文句はHOOKSOFTぽさを残しているものの、ヒロインやデザインからはむしろSMEEぽく見える。箱を開けた側面にはSDキャラ。何もないよりは、やっぱり賑やかな方がいいよね。セットアップはDVD 1枚。認証は不要。この辺のポリシーは昔から変わっていない。

マニュアルはペラ紙1枚で、詳細はディスク収録のPDF参照となっている。最近は、マニュアルと言ってもライセンス認証の方法と簡単なインストール方法が記載されている1枚ものだけとか、このようにディスク収録のものが多くなっている。対して、アリスソフトは世界観やキャラクター紹介、4コママンガやそれどうなのという同人誌的なネタを詰めた小冊子を付けて、昔からこのスタイルを維持している。これも、いずれ見られなくなる日が来るだろうか。

シナリオ

シナリオの長さとしては、共通ルートは短め、個別ルートは並み。ヒロイン4人に各2つのルートが告白前からエピローグまで分岐しているので、全体的な量で見れば普通かやや多い。

公式サイトの作品ページからはつかみ取れないが、実際に今作を見ると、HOOKSOFTのシナリオも同メーカー別ブランドのSMEEやAsa Projectと同じような傾向に向かっているように感じる。要するに、ノリが激しくなってきている。プロローグから謎の新語を造っちゃうところとか。主人公が、割とスケベというか思考丸出しなので、親近感持って読めるところが良い。今までのHOOKでは主人公が自制しているところが大きかったが、今回の方が展開的にも面白い。

ヒロインも今までと違って殻を破っている感がある。

種村小柚子は男子から圧倒的な人気を獲得しているが、告白はことごとく振っている。振れられた男子はみんな芽が出なかったと言うことで、名前にちなんで「発芽不良」を名乗っているとのことだが。その名前はハマりすぎ!元からそのためにヒロインの名前を考えたんじゃねーかって位。先輩キャラとしてはMeltyMomentに一条葵が居たけども、小柚子は歳一つ違いに見えない大人びたルックスで、もう少しさらに垢抜けている感じがする。プレイ前は摩耶ルートが一番気になっていたけど、今は小柚子ルートの方が僅差でより好みかな。摩耶とのやり取りも読んでいて面白いけどね。

英摩耶ルートでのマウントの取り合いも面白かった。特に、プロローグでのくしゃみいじりに反応する「あぁああああああ!?」ボイスが良かった。というか、大げさすぎてこっちがびっくりしたわ。

上ノ山芽愛は最も初めから仲の良いヒロイン。HOOKSOFTの定番として一番仲が良いヒロインと言えば幼馴染みだが、芽愛は分け隔て無く気軽に話せる後輩友達ということで、微妙な距離感を意識したりしなかったりするところがまた良い。

ハンナはHOOKSOFTでは居そうで居なかったタイプのヒロインかと思う。元からの女友達や同じ学校の後輩など、比較的敷居が低くて仲良くなりやすいヒロイン達と違って、彼女は他の学校に通う生徒、しかも外国人とあって雰囲気も違う。内容としては4人中で最も王道な路線を行っていると思う。

「リードする・される」の2つのルートは、単にこちらの行動や相手の反応が変わるというものではなく、告白のシチュエーションや出来事なども丸っと変わる。正真正銘、一人で二人分楽しめるわけ。

グラフィック

画面解像度はHD (1280x720)。CG枚数はCG回想から数えれば100枚を超えるが、リードする・されるのルートで背景の重複や同じCGもあるので、実質的な作業量として見たらどうか。

今作は塗りが若干水彩チックなところが、過去作から印象を多少なりとも変えている。絵からHOOKの作品と分かる人は少ないだろう。小柚子の立ち絵はStrawberry Nautsかそれより前から描いている原画さんと同じだろうと分かるけど、すぐには結びつかなかった。作品コンセプトの根幹はそう変わっていないだけに、塗りのスタイルを変えたところにどんな思惑があるのか分からない。私が最初に見たときは違和感がしばらく付きまとっていたものの、慣れてくればむしろこちらの方がしっくり来る気がしてきた。まあ、ブランドとしてスタイルを固めておくのか、作品に合わせて変えていくかという所だけども。

背景はマンションや本屋など3D CGを使っていると見られるものが多い気がする。IxSHE Tellに比べると背景への比重は低い。カフェや大通りの背景は細かく描かれているが、全体的には簡素に留まっているものが多い。

ヒロインの描画はHシーンを含めてクオリティにバラツキは無く、良好だと思うけども、Hシーンにおいてエロさという面ではまだまだのところもある。フェラのシーンは新しい画風もマッチしていて良かった。個人的には制服のマットな質感が好き。

システム

セーブスロット10個×19ページ + クイックセーブ1個、オートセーブ10個、バックログジャンプ(ロードした地点よりある程度前のシーンまではジャンプ可)。このあたりを含め、システムのベースはAmenity’s Lifeから変わりない。

HOOKSOFTといえば、毎回何かしらの+αな新しいシステムを加えることを特徴としている。今回は「EXピロートーク」で、Hシーン後のお馴染みとなりつつあるベッド上CGで、クリックする場所によって色んな反応が返ってくると言うもの。昔のエロゲーではHシーンで「次はどこを触る」「何をする」を選んでいくものが主流だったが、それに似た感じ。ただし、EXピロートークのシーンは少ないので、あくまで+αな要素。

総評

最近の例に無く、良し悪しを長々と書いてしまったが、満足度としてはかなり高い。各ヒロインで2種類の恋愛を楽しめるというのも良いのだけど、それを踏まえてかヒロインにそれぞれ異なった特徴が出ていて、主人公もヒロインも生き生きしているところが良い。

後からメーカーのYoutubeチャンネル放送を見て知ったことだが、HOOKも20作目の節目に向けて市場の変化に追従しようと、敢えて今までと少し異なる作風に変えてみたとのこと。本作がHOOKSOFTの新時代の幕開けとなるかどうかは他の人の反応を総合して察することになりそうだが、私としては塗りやシナリオのノリ、あるいはキャラクターの属性がこれまでの定番から変わったとしても、HOOKとしての「純愛を大事にする」根幹は変わっていないし、面影もまだ強く残していると思う。過去作からの長い流れを考えれば今回で大きく変わったかもしれないが、HOOKの良い部分、告白やデートシーンでの描写といった雰囲気は残っていると思う。 (2019/12/4完了、No.65)


comments powered by Disqus

※コメント欄が表示されない場合はdisqusについてJavascriptが有効であることを確認して下さい.

(C) 2008-2019 akm. Generated with sakmug-dp.