昔の中華PCがどのようなものだったのか興味がわいたので、少し調べてみた。

IBM PCで動く中国語システム

日本では1980年代中期からWindows 95が登場する1995年まで、PC-98で日本語MS-DOS(PC-98専用)を動かすというのが一般的なPC環境だった。IBM互換機が普及しなかったのは日本くらいで、中国も含め世界的に見ればIBM互換機が普及していた。

中国ではPC/XT互換機で中国語を扱うためのソフトウェア(龍碟中文系統、國喬中文系統、零壹中文系統、倚天中文系統など)が使われていた。これらには英語版MS-DOS上で動作し、EGAなど既存のハードウェアを使ってソフトウェア的に中国語を表示するものもあった。キーボード入力から表示・印刷までサポートしており、IBM DOS/Vの日本語処理部分($DISP.SYSや$PRN.SYSなど)のようなものだった。

数ある中国語システムの中でも倚天が普及し、1990年代中期まで使われた。倚天が普及した理由としては、他よりも機能的に優れている点がいくつかあったのだが、もっともな理由は次の通りである。

倚天中文系統が普及した理由

当時はソフトウェアについての著作権が認知・徹底されておらず、不正コピーが横行していた。倚天はソフトにコピープロテクトがなく、また不正コピーに対する取り締まりも緩かったため、広く普及することになった。

当然ソフトのコピーが広まったところでメーカーには収益がないわけだが、メーカーは「中国語カード(中文卡)」という拡張カードを販売することで収益を確保した。これは日本で言えばJEGAカードに近い。

DOSで使えるメモリは600KBほど。これに中国語システムが常駐するとフォントデータがメモリを使用するため、アプリケーションが使用できるメモリは300KBほどになってしまう。「中国語カード」には漢字ROMが搭載されており、これを使用するとDOSの空きメモリが増えるだけでなく、24x24ドットの高品質なフォントを表示することができた。

中国語版Windowsでは「Big5」という文字コードが標準的に使われているが、これはかつて倚天によって広く使われていたことによる。

中国版 PC DOS

DOS/Vの中国版にDOS Px.x/V、台湾版にDOS Tx.x/Vが存在した。DOS/V登場以前はマルチステーション5550が各国向けにローカライズされていた。情報がほとんどないところを見ると、あまり普及しなかったようだ。

上で挙げた中国語システムや中国版DOS/Vのスクリーンショットをこちらのページで見ることができる。

DOS中文系統懷古(五) IBM PC-DOS - 某廢柴的廢棄日記

参考サイト

面倒だったから「中国」としたけれど、基本的には香港・台湾の事ね。所詮ネットの資料を翻訳機を通して調べただけなので、誤りがあるかも。


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