電験三種 試験対策に使った本とその活用方法
私が第三種電気主任技術者試験(通称、電験三種)の試験対策として用意した本です。たったこれだけの本と半年という短い期間で一発合格できたのは、本当にまぐれと言われても仕方ないです。ただ、今回の経験で学生時代の基礎勉強をしっかりやっていて良かったと改めて感じました。
教本テキストには電験三種よくわかるシリーズを購入しました。書店でこのシリーズを見つけたとき、図・文章が読みやすいこと、解説が丁寧でわかりやすいこと、章で区切ってあって勉強の予定が立てやすいこと、紙面のデザインがいいことw、を理由に一括購入に踏み切りました。発行は2005年とやや古いのですが、基礎作りにはこれで十分です。
一気に4科目に手を付けると予定を立てるのが難しいので、まずは理論と法規の勉強を並行して進めました。
理論
電験三種 よくわかる理論 (なるほどナットク!) | |
早川 義晴 | |
旺文社 |
電気回路は直流の直列並列から、電磁気は高校物理で学ぶクーロンの法則に始まり、物理を忘れかけていた私にとってはいい復習になりました。ただ、交流回路は内容が不足しています。アドミタンスを使った並列交流回路の計算方法が説明されていません。過去問集ではアドミタンス・コンダクタンス・サセプタンスといった用語は知っているものとして解説が載っているので、この本の知識だけではそれを理解できません。また実際の試験でもアドミタンスを計算する問題がしばしば出ます。大学電気科で使われる教科書などと併用することも一つの手です。
法規
電験三種 よくわかる法規 (なるほどナットク!) | |
田中 昭夫 | |
旺文社 |
法規の対策はこの一冊で十分なので、この本を繰り返し読んだりノートにまとめたりしながら徹底的に頭に入れましょう。風圧荷重、地絡電流、需要率、変圧器の効率は計算できるようにしましょう。
電力
電験三種 よくわかる電力 (なるほどナットク!) | |
津田 成和 | |
旺文社 |
本書の厚さと内容を見ると電力科目は簡単そうに思えますが、この科目で求められる知識の範囲は広く、また計算問題も配点の多くを占めます。本書で知識を体系的に身につけておき、これと過去問をあわせて知識や計算力を身につけましょう。過去問では毎回必ず解けない問題に出くわすと思いますが、投げずに解説を読んで理解するよう努めましょう。
機械
電験三種 よくわかる機械 (なるほどナットク!) | |
新井 信夫, 早川 義晴 | |
旺文社 |
私が機械科目に手を付けたのはお盆に入る少し前のことで、試験まで2ヶ月を切っていたのですが、過去問に取りかかるのに1ヶ月おくとすれば機械科目を1ヶ月以内で身につけるのは至難です。
まず本書に目を通すと、覚えるべき知識の範囲の広さに驚愕します。章は、直流機・同期機・誘導機、電力用半導体素子、力学、熱力学、照明、電気化学、自動制御、電子計算機(プログラミング基礎)、とあります。これらの内容を知っているだけでなく、計算問題を解く力を身につける必要があります。
まず本書を読んで知識を身につけつつ、例題は章の公式などを見返しながらわかるところは自分で解き、どうしても解法がわからなければ解説を見て、自分で計算して答えを出します。本書を一通り読んだら、例題や練習問題を自力で解けるまで繰り返し解きます。
そうして自信が付いたら過去問に挑戦します。その自信はすぐに打ち砕かれることでしょう。でも心配は要りません。私がそうだったので。
先に挙げた熱力学以降の分野は選択問題になったり、年度によっては出題されなかったりしますが、まんべんなくやっておくことを勧めます。過去問では照明の出題は少なく、私はこれを勉強して本当に役に立つのかと懐疑的でしたが、今年度は選択問題で照明が出題されてとても救われた気分になりました。
過去問
電験3種過去問題集 平成26年版 | |
電験問題研究会 | |
電気書院 |
上で挙げた教本は難しい・詳しい解説が省かれていて、特に電力の知識と機械の計算問題が不足しています。かといっていきなりこれに取り組むと心が折れます。まず教本を一通りものにしてからこれで知識と計算力を伸ばしましょう。
解けなかった問題はマークして、自力で解けることを目標に繰り返しやりましょう。私がここで解けなかった問題の半分は今やっても自力では解けないでしょうが、問題を繰り返し解こうとすることで計算力・思考力は付いたと思います。そのために過去問を解く時間は試験当日までの1ヶ月は確保しておきたいものです。
時間をそれなりに確保できる学生なら、数ヶ月という短期間でも綿密な計画を立てて計画的・持続的に勉強すれば、一発合格は不可能ではないでしょう。余裕のない方は、2年かけて2科目ずつゆっくり確実に取っていきましょう。