キースイッチの交換に挑戦 [Gateron Black Crystal V2 Yellow]
Vissles 84キー (V84 Pro)のオリジナルブランド赤軸をGateron CAP Black Crystal V2(佳达隆CAP黑晶)黄軸に交換してみる。
カスタムキーボードという分野の面白いところは、ここ数年で技術競争が著しいニッチ市場ということあって、世界中の先進的なキーボードマニアから注目を集めているにも関わらず「ちゃんとした情報」が少ないことですかね。レビューは結構盛んなんですけど。スイッチメーカーもちゃんとした企業のサイトじゃなくて、個人経営のようなECサイトやAlibabaを販売拠点にしているところだったりするので、プレスリリースなんてのは基本ないんですよね。
例えば、このGateron(佳达隆)というメーカー。最新の製品はLED対応のPROとSMD対応のこのBlack Crystalの2種類だと思うんだけど、Amazon.comやAli Expressにはハウジングが黒やベージュの古いバージョンのものがまだ出回っている。メーカーのサイトにはラインナップや後継製品の説明がなく、念入りに調べないと「安物買いの銭失い」になりかねない。そう言う私も昨日今日で知り得た情報を並べているだけなので全く自信ない。
使用前にルブ (lubrication) した方がいいというけど…
例えば「Novelkeys x Kailh Creams」という最近信者が増えているリニアスイッチがある。このスイッチは最初の時点ではカスカスの感触で、「自己潤滑性」という特徴により使い込むほど滑らかになるのだが、その性能を発揮するには1万回打鍵する必要があるとか。このため、ユーザー側でルブ(潤滑剤)を塗布するのが定番となっている。
しかし、正直面倒くさい。私も昔スムースエイドという潤滑剤をNECのリニアスイッチに使っていたけど、ああいうのは定期的に塗らないと効果が薄れるし、コストも地味に高い。マニキュアや目薬みたいな容器で1,000円いくらかする。そこまで入れ込むつもりはない。
それで色々調べた結果、ルブを塗布済みで自分で塗り直さなくてもそこそこ滑らかに使えて、入手性が良いGateronを選んだ。もう一つ、もっとマイナーなメーカーで気になっているスイッチがあるんだけど、それは近々また機会があった時に。
Gateron 黄色軸について
黄色軸は動作圧50gで、Cherry MX赤軸 (45g)と黒軸 (55g)の中間になる。赤軸はキーに少し力を入れただけで入力されてしまうので、キーに指を置くスタイルは向いていない。黄色軸も軽い方ではあるが、赤軸に比べれば指を浮かせることに念入りになる必要がないので、チャットを打つ程度なら黄色軸で負担軽減できる。長い文章を打つなら黒軸やもっと重い軸を一度検討した方が良い。
スイッチ交換
テレビ専用機を組む時に急遽用意した84キーボードがスイッチ交換可能 (swappable)ということで、これで遊んでみる。
テンキーは不要か別で用意するけどファンクションキーは欲しいという人には84キーが丁度良い。テンキーが必要なら96キーというのもあるけど、84キーよりさらにマイナーなため選択の幅が非常に狭い。でも最近そちらも注文したので、どういう使用感になるか楽しみ。
キーキャップとスイッチの引き抜き工具は付属するので、別で買う必要がない。3ピンまたは5ピンのCherry互換スイッチが使える。SMD実装のLEDが基板に付いているので、LEDの光を残したければスイッチのハウジングが透明のものを選ぶ必要がある。
スイッチを外すには隣接するキーキャップやベゼル(枠)を外した方がやりやすい。このキーボードのベゼルはドライバー不要で指だけで比較的簡単に外れるので、メンテナンス性はよろしい。
標準で付いていたものに比べると、Black Crystalはハウジングの上半分とLED部分だけが透明になっているため、光の拡がりは少なくなる。キーキャップを付けている状態では、並べて見比べなければそこまで違いはない。
使用感としては、標準で付いていたものより滑らかなタッチになった。標準のものもルブは塗ってあるんだけど、押した感触はカスカスしていて、反発力もリニアと言いながらタクタイル気味に若干強弱のブレを感じる。Gateronはそう言う感触がなくなって、私にとっての理想的なリニアスイッチに近づいた。底付きの音は標準のものが静音を売りにしていたとあって低めの籠もった音だったが、Gateronに変えたらはっきり聞こえるようになった。私としては静音の方がが好きなので、この点はマイナスかな。
リニアスイッチの重い軸も試してみたい。昔、Cherry MX黒軸を試した時は馴染まなかったけど、最近のスイッチだとまた印象が変わるかもしれない。