変圧器の流動帯電現象
近々、2種電気主任免状取得に向けた面談があるので、少しでも知識をつけようかと思って、この連休は変圧器の流動帯電現象について調べていた。
送配電設備の構成機器の中で特に変圧器の基礎技術は何十年も前から変わっていないが、その長い歴史の中で比較的最近(といっても1970年代頃)に話題になったのが「流動帯電現象」というもの。
500kVクラスの高電圧・大容量の変圧器は発熱量が凄まじく、絶縁油の自然循環ではとても冷却が追いつかない。絶縁油をポンプで強制循環させて別置きの冷却フィンに送り、フィンに取り付けられた、人間の背丈より大口径の冷却ファンを複数個使って冷却している。この油の流動によって油自体または巻線部にある絶縁物表面の電位が高くなり、油中沿面放電または油中空間放電を発生して絶縁破壊に至るというもの。
この問題に対しては変圧器内部の流路構造の改良、流速調整、絶縁油の品質改良やBTA(ベンゾトリアゾール)の添加によって対策が進んだが完全ではなく、経年劣化の影響や診断手法への研究はずっと続いている。
BTAとは聞き慣れない用語だったが、絶縁油試験のJIS規格 JIS C 2101 (電気絶縁油試験方法)にも「ベンゾトリアゾール定量」としてこれの油中濃度を測定する試験項目が存在する。
絶縁油の劣化診断については私も調べたことはあるが、こんな項目があることは知らなかった。まあ、強制冷却が必要になるような大容量変圧器に馴染みがないから仕方ないけど、勉強になった。