現時点でZuluIDEはCDイメージとしてiso形式とcue+bin形式をサポートしている。iso形式はデータのみのシングルセッションしか含めないので、今回の目的であるMixed-mode CDを使用するにはcue+bin形式でイメージ化する必要がある。ZuluIDEの購入を検討する前に、そもそも私はCDイメージファイルをcue+bin形式で作成したことがないので方法を調べていた。
まあしかし、普通の音楽CDやCD-Extraはともかく、ゲームディスクに多いMixed-mode CDのイメージ化については情報が少なく、あったとしても20年以上前の賞味期限が切れていそうな情報ばかり。自分で実際やってみるしかないか。
まず、私が普段使っているDAEMON Tools Liteではcue形式のマウントはできるが、作成はできない(昔のバージョンではできた気がするが)。CDイメージ化ソフトでその次にポピュラーなImgBurnはアドウェアが含まれているらしく、私の環境ではダウンロード後にESETによってWin32/Adware.OpenSUpdater.LC.gen アプリケーションの変種
として削除されてしまう。
今回はIsoBuster 5.6を使った。このソフトはDAEMON Toolsと同じく、一部の機能だけ無料で使える。有料版はハードディスクイメージにアクセスしたり、DVDやレコーダーの録画データを展開する機能があるようだが、CDイメージ化関連の機能はFree版で十分に使える。
セットアップで注意することは特にないが、強いて言えば、”Find and list all Hard Disks, Flash drive, USB sticks etc.“のチェックを外しておくと、起動時にUAC昇格画面を表示させずに済む。どのみち、ハードディスクを扱う機能は有償版でないと使えないので、チェックは不要。
Mixed-mode CDとEnhanced CD (CD-Extra)
複雑なことに、1枚のCDにオーディオデータとプログラムデータを混在させる方法はいくつかある。代表的なものの一つはMixed-mode CD(これは俗称で、正式名称はない)で、もう一つはEnhanced CD(日本ではCD Extraとも)というらしい。
一般的に家庭用ゲーム機やPCゲームのディスクではMixed-mode CDの形式が使われる。これはシングルセッションのディスクで、最初のトラックにプログラムデータを入れ、残りのトラックにオーディオデータを入れたもの。この形式はデータトラックを想定していない一部の音楽CDプレイヤーではプログラムデータを音声として再生してしまい、爆音などを発して機器や人を害する恐れがあるため、後年にEnhanced CDという別の形式が規格化された。そちらはZuluIDEが対応しているかどうかは不明。
Mixed-mode CDの cue イメージ化
Mixed-mode CDというのは俗称で、利用している技術自体はオリジナルのCD-ROMの規格 (Yellow book) に準じているので、ディスク自体は普通のCD-ROMと見分けが付かない。ロゴに”Digital Audio”の表示がないから、そこで音楽CDの規格 (Red book) とは区別が付く。オーディオトラックがないCD-ROMとの違いは、ディスクの記録面をじっくり見ると、CD-Rのように円周の内側(データトラック)と外側(オーディオトラック)で色が若干違って見える程度だ。
IsoBusterを起動して、ドライブにディスクを入れたら、左上のドロップダウンリストから目当てのドライブを選択する。
セッション1のトラック1がデータトラックで、残りはオーディオトラックになっているので、Mixed-mode CDと分かる。
ツリーの中から “CD” を右クリックして、”Extract CD Image” -> “Raw (*.bin)” をクリックする。
binファイルが作成された後にcueファイルも自動で作成される。cueファイルの内容は以下の通り。
FILE "CD [KANON_ALL].bin" BINARY
REM ORIGINAL MEDIA-TYPE: CD
CATALOG 0000000000000
REM SESSION 01 (*)
TRACK 01 MODE1/2352
INDEX 01 00:00:00
REM LBA: 0
TRACK 02 AUDIO
INDEX 01 30:46:09
REM LBA: 138459
TRACK 03 AUDIO
INDEX 01 32:11:46
REM LBA: 144871
(以下省略)
Enhanced CD (CD Extra) の cue イメージ化
Enhanced CD (CD Extra) が登場したのは1995年のことであり、MS-DOSでサポートされていないこともあってか、DOSやWin9x時代のソフトでEnhanced CD規格のゲームディスクを見たことがない。2000年前後のまだインターネットやDVDプレイヤーが普及途上だった時期に、音楽CDにPC用のコンテンツ(MVなど)を添付する手段としてEnhanced CDが使われることがあった。コピーコントロールCD (CCCD)もこの規格を利用していたが、コピー防止に効果があったかどうか疑わしい。
今、私の手元には音楽CDが少なくて、その中でCCCD以外のEnhanced CDはこれくらいしか出てこなかった。声優の釘宮理恵さんと日野聡さんのラジオCD。これでも17年前かー。
セッションが2つ出て、データトラックは後ろにあるのがEnhanced CD。
イメージ化の方法は先と同じ。このcueファイルの内容は以下の通り。
FILE "CD [zero_radio_vol2].bin" BINARY
REM ORIGINAL MEDIA-TYPE: CD
REM SESSION 01 (*)
TRACK 01 AUDIO
INDEX 01 00:00:00
REM LBA: 0
TRACK 02 AUDIO
INDEX 01 05:25:48
REM LBA: 24423
TRACK 03 AUDIO
INDEX 01 27:58:63
REM LBA: 125913
TRACK 04 AUDIO
INDEX 01 38:18:55
REM LBA: 172405
REM LEAD-OUT 40:29:37 (*)
REM SESSION 02 (*)
TRACK 05 MODE1/2352
INDEX 01 43:01:37
REM LBA: 193612
REM (*) SESSION commands are not supported by all applications
これでイメージを作成するところまではできたけど、これを他のアプリケーションやZuluでマウントできるかどうかまで確認できていない。