同人ソフトで見るCD盤面デザイン(オフセット印刷・シルク印刷)
今日の風呂場で考えに耽っていてとっさに気になったこと。最近はコンテンツのオンライン配信が増えてきて、いずれCDがなくなる日も来るのかなと思ったのですが、そういえばCDレーベルには紙媒体のような印刷と、シルクスクリーンを通したようなべた塗りの印刷があったことが気になったのです。特にここ10年ほど、音楽CDなど商業作品は物理媒体の付加価値を上げるためにパッケージなどの物品に凝ったデザインのものが多いのですが、同人作品に関してはあまり気にしたことがなかったので、ちょっと棚をあさって調べてみました。
などと書いていたら、結果的にめっちゃ長くなった。
白ベタ オフセット印刷
現在最も使われているであろうCDレーベル印刷手法。PS3・PS4のゲームディスクはほぼこれですね。白インクを全面に塗って上から紙媒体同様にCMYKで印刷するので、特にフルカラーの写真やイラストに適しているようです。手持ちの同人ソフトの中でもこれが圧倒的に多いです。
左:雪晶石 ‒Malice Eater‒(Project Noise)、右:ラピス・リ・アビス(日本一ソフトウェア、これは商業作品)
銀盤 オフセット印刷
白インクの下塗りをせずCMYKで印刷する手法です。白がない代わりに銀盤の地色を利用することになります。全体的に色が薄く視認性がやや劣るという難点があり、同人ソフトでの採用例は少ないです。
左:Phantom Sol v1.00(Circle MATYLA)、右: Terra Arcadia v1.00(Circle MATYLA)
表面はざらつきのあるマットな質感です。
銀盤・白ベタ混合 オフセット印刷
部分的に白ベタが入っているようで、キャラクターや背景画像がはっきり見えます。こんなこともできるんですね。
花咲か妖精フリージア(Edelweiss)
商業作品になってしまいますが、銀盤の地色に青系のオフセット印刷と白のシルク印刷を重ねて使っています。
Swallow Tale(Key)
シルク印刷
純色インクを重ねて印刷する手法です。わずかにインクの立体感(重なり)が出る上、半透明インクを重ね塗りすれば特異なデザインを表現できます。レーベルがくっきり鮮やかに見えるのが特徴です。色数に制限があること、予め決められた色しか使用できないこと、細かい表現が苦手という欠点があります。商業作品の音楽CDが好んで使う印象があります。同人ソフトでの採用例はもともと多くはありませんでしたが、最近は非常に少なくなっています。商業ゲームでもPS2時代は結構ありましたが、今はもうないのでは。
左上:巫女BLASTER(葦葉製作所)、左下: 東方紺珠伝(上海アリス幻樂団)、右上:トラブル☆ウィッチーズ(Studio SiestA)、右下: AIRRADE(Studio SiestA)
シルク印刷でのトーンの表現に味があります。
シルク印刷での単色トーンの応用
シルク印刷を使っていますが、単色トーン表現で写真やキャラクターの影を表現しています。
左:ANGERAZE COMPLETE(OHBA堂)、右: 東方花映塚(上海アリス幻樂団)
その他の工夫を凝らしたもの
内周が黒くなっています。レーベル自体はCD-Rへのインクジェット印刷です。店頭販売の同人ソフトでは7割が白ベタオフセット印刷として、2割がCD-R、残りがその他の割合でしょうか。インクジェット印刷対応CD-Rを使っていながら何も印刷されていないことは珍しくありません。
Project Frontier(Chronicle Station ‒00‒)
盤のポリカーボネートが真っ黒です。MaxMediaでググってみたら、そういうのをウリにしていた台湾メーカーみたいです。いつか読めなくなりそうで、耐久性に不安があります。
→ASCII.jp:○○専用!? 赤と青のCD-Rメディアが発売に
こちらはCDの銀盤が透けていてジャケット裏面に印刷された模様がうっすら見えます。キャラクターの線画はシルク印刷です。
RefRain(RebRank)
こちらはカートンケースに丸い切り込みが入っていて、CDレーベルのイラストが顔を覗かせているように見えます。こういう遊び心は良いですね。作ってもらうとなると大変そうですが。
ヒトガタハッパ(Platine Dispositif)
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