Image: 180803 VN『IxSHETell』『まおてん』(2018年) 感想

ビジュアルノベル『IxSHETell』(HOOKSOFT / 2018年2月)『まおてん』(CandySoft / 2018年6月)の感想。18歳未満の方の閲覧はご遠慮下さい。

IxSHETellは発売から半年が経ってファンディスクが出たばかりという頃に今さらという感じですが、時空が歪んでいてタイムリーな話題が乏しいのはいつものことです。ご了承下さい。

IxSHETell の感想 (No.44)

HOOKSOFTはさくらビットマップ以降の本編作品全部プレイ済みです。

シナリオ

私が知っているHOOKSOFT作品と比べると、今作は60%くらいはみ出した異色作に見える。異世界が舞台のトラベリングスターズや擬人化キャラが登場するAmenitys Lifeも学園純愛系ではやや異色だけど、お互いにベースからステップを経て恋愛を成立させる過程では同じだったし、ヒロインも一部を除いては理想中の理想を描く「綺麗な」キャラクターが多かった。今作はヒロインが主人公に対して積極的にアプローチを仕掛けるストーリーのため、ヒロインのかわいさを見せる行動の多くは主人公にモテようとする意図がはっきりある。また、彩楓のように恋愛感情より目立ちたいという目的から動くヒロインというのも珍しい。そのため、早い段階で恋人のように仲良くなるから、ヒロインたちとのやり取りを早い段階から長く楽しめる。主人公も変に気取ったりその逆に無気力になったりしないので、読み手の目線から好感を持てたのが良かった。

最初に選んだ由衣ルートについて。二人きりの時はお嬢様を感じさせる言動や仕草が多くてドキっとさせられるが、友達の萌楓や青葉とつるんでいるときは年相応のはしゃぎように、ほっこりさせられる。最初のうちは、小動物的なかわいさはあるけど恋人にするにはまだ早い(禁断の幼い果実!?)感じがしたが、デートを経て対等な関係に近づいていくと、恋人としてしっくりくるようになった印象を受けた。

次に選んだ彩楓ルートについても同じで、先輩・学園のアイドルというイニシアチブで差を付けられていたところから、とある事件をきっかけに対等な関係になっていくストーリーは良かったと思う。他のルートについては未プレ。

個別ルートでも他のヒロイン達とのコミュニケーションが楽しめて、シナリオの方向性に変化があるので飽きない。量的にはヒロイン2人きりのシーンとちょうど良い案配を保っていると思う。

サブヒロインの萌楓ルートがないのが惜しいのだけど、恋人立候補の5人を差し置いて萌楓を選ぶストーリーを作るというのは難題な気がする。

グラフィック

西洋風の町並みや建物の内装・調度品と言った背景のデザインが良い。また、Amenity’s Lifeに引き続き、背景が緻密に描かれていて非常に綺麗。体験場の感想でも書いたとおり、今作はヒロインとの距離感を近く演出させるため立ち絵が大きく映る。その時に拡大する背景を見ると、ディティールの良さが分かる。残念ながら表示上の画面解像度はフルHD (1920x1080)でなくHD (1280x720) だが、背景単独の画像解像度はフルHD以上あるように見える。画面解像度とディティールの話はHOOKの開発裏話で言及されていたことから、フルHDにしなかったのはこのあたりのディティールの維持と容量の都合があったのかもしれない。

システム

セーブスロット114個+オートセーブ6個、クイックセーブ1個、バックログジャンプあり。まだルート・CGをコンプしていないが、今作はシーン回想はHシーンのみだとしたら少し残念。リコレクションモード、結構便利だったのに。

今作ではヒロインからの好感度というものはない。代わりに、ヒロインから受けるアプローチに対して随時ポイントを付けられる「きゅんポイント」システムになっている。それすら煩わしいという人は、ポイントを付けなくてもヒロインルート分岐点で救済策があるので、手間が掛からない。(ただし告白シナリオが若干変わるので、きゅんポイントシステムの利用を推奨)会長の演説や神対応にキュンとしてもポイントが入れられない点だけは惜しいかも(笑)新システムのきゅんポイントと旧来システムのアフターセレクトの両方を取り入れたのはいまいち謎。

総評

コンセプトとシナリオは良かった。HOOKSOFT作品で個別ルートを最後まで早回しせず見られたのは初めてかもしれない。CGも特に背景がかなり気合い入っていたけど、HシーンはAmenitysLifeから進化していない感じ。作品全体としては、今作も過去作以上に楽しめた気がするので、HOOKSOFTは成長を続けているのだと思う。(2018/07/31完了)

まおてん の感想 (No.45)

同メーカー、同作者の他作品は読んだことがなく、アニメ版つよきすを少し見た程度の新参者です。

シナリオ

途中で読むのを辞めようかと思うこともあったけど、結局最後まで読み切った。ラストルートで伏線や主人公周りの真相が明かされていくシナリオは、瞬きを忘れるほどディスプレイに表示される文章に夢中になったが、このポテンシャルを序盤のうちにも発揮させてほしかった。

ストーリーはコメディ要素の強い学園ドタバタコメディで、敵と対峙する場面でもちょいちょいコメディを挟んでくる。ライトノベルの戦闘シーンを1ページ10秒で頭にたたき込みながら目で読むことになれていると、シーンがコロコロ変わるこの形式は間が悪く理解に時間を要するため、読みづらかった。ラストルートはシリアスなシーンが多くを占めるが、束の間の息抜きシーンで梨多の母とのHシーンが入ってくるあたりちゃっかりしてる。これはむしろ好印象。

恋愛シーンという観点では、幼なじみの梨多に告白して恋人になっていく過程は割とリアルな感じが良かった。登場シーンの多さの割にいちゃラブ度は低かったかもしれない。カリンのロリ巨乳の威力はなかなかで、2人だけの精神世界でひたすらラブラブするシチュも良かった。もともとそれに期待して本作を買ったこともあるので、この点に関しては大満足。天界のダンテに対してのラスボスにならなかったのは予想外だったけど。黒髪お姉ちゃんのユウリに対してはあんまり興味がわかなかった。なぜなのか自分でもよく分からない。自分が求めるもの(性癖?)の自己分析からやり直した方がいいかもしれない。

グラフィック

特筆する点は光の差し込みや反射の表現が多めなのと、ユウリの燃えるように輝く羽がリアルに燃えているかのように動くCGがあったことくらい。クオリティは可もなく不可もなし。どのヒロインもお尻や太ももなどのぜい肉のむっちり感があって、個人的には好みだった。

システム

セーブスロット約120個+オートセーブ16個、クイックセーブ8個、バックログジャンプなし。Ver.1.03適用後で、特にバグらしいバグはなかった。

総評

ラストルートを読む前後で印象・評価がぐるっと変わったので、自分自身どういう評価で締めくくるべきか分からない。キャラクター、ストーリー、世界観はしっかりできていたし、それらとコメディ要素との親和性も良かった。序盤のシナリオで読者を引き込む魅力が不足していたかもしれない。あるいは、初期のプロットから影響が大きな変更があったようなので、その調整不足だろうか。(2018/08/03完了)


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