Image: ラジカセ『Sony ZILBA'P TV』整備 [4]低音ブーストと巻き戻しの不具合を修理

ステレオラジカセ『ZILBA’P TV』(ソニー CFS-V1、1979年発売)を修理。

低音ブーストが片側に寄る問題を直す

あまり使わないから気にしていなかったけど、このラジカセにはBASSツマミを右に回すと右だけ低音がブーストされる不具合があった。作りの個体差みたいな、そういう特性なのかと最初は思っていたが、調べてみるとはっきり故障である事が判明した。

3×2連のボリューム(可変抵抗器)が載っているサブ基板の左から6番目の端子がパターンと全く導通していないことが分かった。見た目では分からないが、他の端子と比べると、これだけ端子が左右にぐらつく。基板を付け外ししているうちに壊してしまったか?でも、最初から不具合はあったような気もする。

Image: Sony CFS-V1

回路のコンデンサに問題がある可能性も疑って回路構成を調べてみると、トーン調整部は古典的な「CR型トーンコントロール」という設計が使われているらしい。

CR型トーンコントロール設計法

Image: RC tone control

本機は上図のC1 = 0.0047 μF, C2 = 0.018 μF, C3 = 0.027 μF, C4 = 0.1 μF, R1 = 6.8 kΩ, R2 = 2.7 kΩ, VR1 = VR2 = 100 kΩで構成されている。0.1μFだけ手持ちにストックがあったので交換した。

パターン切れ部の補修はパターンの銀箔?を露出させてもハンダが載らなかったので、ハンダ付けで直すのは無理と判断。銅箔テープを買ってきた。

Image: Sony CFS-V1

これでパターンと端子間を繋ぐように貼り付けた。接触が甘いのか、抵抗が1kΩくらい残っていて不完全な状態ではあるものの、ボリューム中間位置(50kΩ)で使用するには影響が小さいのでヨシ。

テープの巻き戻しができない問題を直す

これはメインのプーリー付き歯車とテープを巻く歯車の間に入る小歯車が上手く噛み合わないというギアの問題で、最初は歯の摩耗のせいだと思ったんだけど、動きを注意深く見てみると、小歯車が上下方向に押し出されて斜めに噛み合うことで接触が甘くなっていることが判明した。

Image: Sony CFS-V1

まずは軸のゴム車の上辺りにワッシャーなどのスペーサーを入れる方法を考えたけど、アームが斜めになることに対する直接的な解決になっていないのでびみょー。アームのプラスチックを温めて逆向きに癖を付けようとしてみたけど、これも難しいし、時間経過ですぐに駄目になりそう。

メインプーリーを支持する金具をよく見ていると、丁度いい感じに切り欠きと穴が開いているので、ここにバネを付けてアームを抑え込むことにした。都合良くバネなんて持っていないので、代わりになるものを探していたら、捨てる予定だった缶バッジに安全ピンを発見。

Image: Sony CFS-V1

目分量で調整しながら折り曲げて、こんな感じで取り付けた。

Image: Sony CFS-V1

テープを入れない(無負荷)状態であればスムーズに回るようになった。テープを入れると巻き上げが進む(負荷が掛かる)につれて空回りしそうな怪しい異音がするので、まだ抑えが甘いか、調整で何とか出来る限界かもしれない。


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