ステレオラジカセ『ZILBA’P TV』(Sony CFS-V1、1979年発売)を修理。

翌日配送で注文したAD/DCアダプターがおととい届く予定だったんだけど、理由は不明ながら未だ配送中のまま(22日までは返金申請できない)なので、手持ち無沙汰になった時間で、リスニングではなくちゃんとオシロスコープを使ってアジマス調整することにした。

アジマス調整とは何たるか。次は『テープレコーダ技術読本』(日本放送出版協会、1963年)133頁より。

録音再生に使われるヘッドのギャップはテープの走行方向に対して垂直であることが必要です。ギャップが傾いていると、別図に示すように出力が低下します。傾き角が大きいほど出力の低下はひどくなり、またテープ上の録音波長が短いほど影響が大きく、すなわちテープ速度が遅く、周波数が高いほど損失が大きいということです。

Image: Sony CFS-V8 Service Manual

ソニーのZILBA’P New Age サービスマニュアル(1979年)では「録再ヘッド垂直調整」として次のような手順が載っている。

  1. LINE OUTのL-Ch, R-Chそれぞれにに47kΩの負荷抵抗を接続し、そこにVTVMを並列に繋ぎ、調整用標準テープ P-4-A81(6.3kHz, -10dB)を再生する。
    Image: Sony CFS-V8 Service Manual
  2. ヘッド左の固定ネジを回して出力がピークになる点を確認する。L-Ch, R-Chのピークが一致しないときは各々のピークより0.5dB以内で出力が一致する点にねじを調整する。
    Image: Sony CFS-V8 Service Manual
  3. VTVMを外してL-Ch, R-Chそれぞれにオシロスコープの水平・垂直入力を並列に繋ぎ、調整用標準テープ P-4-A81(6.3kHz, -10dB)を再生する。オシロスコープのリサージュ波形が右上がりの形になることを確認する。
    Image: Sony CFS-V8 Service Manual

ここに出てくるVTVMというのは真空管電圧計 (Vacuum Tube Voltmeter, バルボル) というものらしい。私は電子工学に疎いので聞いたことなかったのだが、調べてみた感じ、入力信号を増幅して計測する高抵抗電圧計で、まだデジタル電圧計がなかった時代の代物だ。今はミリボルトが測れるようなちょっと精度が高いデジタルテスターで代用できると思う。RMSかどうかで違いが出てくるかもしれないが。

私みたいな素人が口を出してバカげているかもしれないが、他の人のアジマス調整の記事を調べていると、オシロスコープに表示されるリサージュ図形を直線にする(= 位相を揃える)ことにこだわっている例を見かける。しかし、上の手順を踏まえると、この機種の場合は左右のバランスを揃えることが最優先事項で、位相はある程度揃っていれば問題ないと解釈できる。この方法で調整するには同じレベルのパターン波が最低でも20秒か30秒か記録されたテープが必要になり、一般的な楽曲のテープでは難しい。自分で録音して作ることはできるが、結局そのために調整済みのカセットデッキが必要になる。

今回はモノラル録音の楽曲テープを使用した。オシロスコープは2年前に15000円で買ったHanmatek HO52 50 MHz 2ch

位相がずれている場合。右は2chを重ねて表示している。左はX-YモードをONにした時。5kHz基準で位相が90度近くずれている。

Image: Sony CFS-V1 Image: Sony CFS-V1

位相が合うように調整した後。

Image: Sony CFS-V1 Image: Sony CFS-V1

左右のレベルが微妙に違うので、X-Yグラフも完全な斜め45度より少しずれている。若干だ円になるのはテープの特性による。理想は斜め45度一直線で、実際、ラジオのモノラル出力にするとちゃんと一直線になる。私の手持ちのツールは貧弱だし、この機種は高級機や業務用モデルでもないので、調整の精度にはある程度妥協するしかない。


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