昔のPCで使われたCRTモニターの仕様をリストしていたら、一つの事実が見えた。1980年代はドットピッチ 0.31 mm のモニターが最も多く、1990年代(多くはマルチシンクモニター)はドットピッチ 0.28 mm が多いことが分かった。
IBMのEGA用純正モニターである IBM 5154 のドットピッチは0.31mmだったが、VGA用純正モニターの IBM 8513 では0.28mmになった。5154の更に前のモデルである5153のドットピッチは0.38mmと粗く、こちらの比較写真を見れば、その違いははっきりしている。
| IBM Model | 5153 | 5154 | 8513 |
|---|---|---|---|
| Year | 1983 | 1984 | 1987 |
| Viewable Size | 13” | 13” | 11” |
| Horizontal Scan | 15 kHz | 21 kHz | 31 kHz |
| Dot Pitch | 0.38 mm | 0.31 mm | 0.28 mm |
| Video Adapter | CGA | EGA | VGA |
| Full Resolution | 640x200 | 640x350 | 640x480 |
あとは、シャドウマスクかアパチャーグリル(トリニトロン管)かでも見え方が変わってくる。1990年代初頭まではほとんどシャドウマスクが使われていて、DTPとかマルチメディアが台頭してきた頃から高画質志向でアパチャーグリルのCRTが出てきた印象。
こういう違いは現代の液晶ディスプレイを使ったPCで再現するのは難しいのか?MAMEのHLSLのようなCRTエミュレーションはかなり出来が良いようなので、これを他のPCエミュレーターも取り入れないだろうか、と思っていたところ、DOSBox-xにもそれっぽい描画オプションがあることを見つけた。
Video -> Scaler -> RGB 3Xにチェックを付けた後にVideo -> Force scalerにチェックを入れると、ピクセルでシャドウマスクに近いパターンが再現される

アリスソフトの闘神都市Ⅱ(98版)のOP画面より、1番目のスクリーンショットはNormal 3x、2番目はRGB 3x、3番目は冊子Alice Soft Catalog Vol.10(1994年)より。


タイリングを拡大するとジャギーが目立つが、RGB 3xの方は遠目だとトーンパターンの一種に見える。明るさは全体的に暗くなる。RGBの原色の発色特性が強く出るためか、液晶ディスプレイによって色合いの違いがNormal 3xよりやや大きい気がする。私の場合、メインモニターではNormal 3xよりRGB 3xの方が赤みが強く見えるが、サブモニターでは明るさ以外にあまり違いがない。違いが生じるのはパネルの特性が違うのだから当たり前のことだ。よって、上のスクリーンショットですら、見る人によって印象が違ってしまう。
結局のところ、色合わせのことまで言い始めると、MAMEのHLSLのような高度な調整とそれを使ったカラーマッチが必要で、そのためにはIBMでいう8513、NECでいうPC-KD853Nのようなリファレンスが必要になってしまう。