東芝MCRシリーズ スイッチギヤ用マルチリレーの歴代モデル
※この記事は興味本位から調べて書いたものであり、恐らく正確性を欠いています。これらの使用方法やリプレースについて私に相談されても対応できません。
歴代モデルの外観を見ていくと、MCR20は銀梨子地の盤面に数桁のセグメントLEDと複数のLED電球による状態表示で、見た目は当時の典型的な第1世代デジタルリレーといった感じだ。MCR22で遮断器の入切スイッチが目隠しパネルの中に入り、視認性の違いを除けばインターフェイスは最新機種と変わらない。MCR27で数値とバーグラフがLCD(液晶ディスプレイ)になった。MCR28は途中のロットでディスプレイがLCDからVFD(蛍光表示管)に変更された。
MCR20
スイッチギヤ インテリジェント化の一環としてディジタル化した複合機能形制御装置(マルチコントローラ)を商品化し納入を開始した。
商品化した機種は、中圧スイッチギヤ用MCR20形、高圧コンビネーションスタータ用CBR20形、モータコントロールセンタ用CCR11形の3種類でいずれも、監視・制御・保護・伝送(オプション)の各機能をワンパッケージ化した複合機能形で、下記の特徴を備えている。
- 高機能・高性能化 - 伝送機能の付加や保護特性の改善。
- 信頼性・保守性の向上 - 自己診断機能の付加やデータの記憶。
- 小形・低負担化 - 複合化によるコンパクト化やLSIの適用。
- 標準化・柔軟性の向上 - ハードウェアの標準化とソフトウェア化。
(東芝レビュー Vol.43 No.3 258頁, 1988年)
MCR21
制御・監視・保護機能を一体とした、新規開発の配電線用マルチリレー(MCR-21)を採用。マルチリレー専用変流器の適用でレシオ変更が器具取替なしで対応できる。
(東芝レビュー Vol.44 No.3 253頁, 1989年)
- 遮断器のトリップコイル断線監視
- 遮断器の閉路・開路時間監視
- 最大電流または故障電流の記憶と表示
- 自己診断機能
- 電流トランスデューサ出力、伝送(オプション)
(東芝レビュー Vol.45 No.2 98頁, 1990年)
MCR22
電力の高品質化、安定供給に対する要請よりスイッチギヤ用マルチリレーに点検機能を備えたMCR22型マルチリレーを製品化した。この製品は、当社の誇るマルチリレーシリーズのなかの高機能機種の一つで、次のような特徴がある。
- 遮断器の入切スイッチやメータ類、各種保護リレー機能を一台で実現。
- 電流・電圧・電力などの計測量をDC4~20mAでアナログ出力するトランスデューサ機能を内蔵。
- 伝送機能 (TOSLINE-S20) による中央との伝送が可能。
- 遮断器操作機構の監視など機器監視機能の充実。
- 二重化および点検機能による信頼性の向上。
(東芝レビュー Vol.47 No.3 245頁, 1992年)
MCR23
MCR22との違いは不明。
MCR23型マルチリレーは保護・監視・計測機能を一体化したスイッチギヤ用の多機能ディジタルリレーであり、VTL型をはじめ電力用中圧スイッチギヤ一般に適用可能である。
特徴として次に示す項目がある。
- 常時監視と自動点検により従来定期点検時しか発見できなかった誤不動作故障が運転中に発見可能
- 特性変化が小さく点検周期延長と項目簡素化が可能
- 過去の最大電流や保護動作時の電流などが表示可能
- 5種類の反時限特性により機器耐量との協調が容易
- 遮断器動作時間監視やトリップコイル断線監視が可能
(東芝レビュー Vol.48 No.5 371頁, 1993年)
MCR24
※未確認
MCR25
受変電設備の監視・計測・保護・制御の機能を集中したマルチリレー(MCR)を全面的にモデルチェンジした。主な特徴は、
- 2系列のディジタル表示、電圧・電流バー表示で視認性向上
- 自動点検と常時監視機能による自己監視機能の充実
- CPU、保護遮断回路の二重化、光伝送路のループ化(TOSLINE S-20LP)による信頼性の向上
- ディジタル・アナログ模擬出力によるシステム試験の省力化
- 保護特性、整定値など内部情報のデータ伝送化
- 外部配線のコネクタ化、薄型化による実装性の向上
(東芝レビュー Vol.52 No.3 82頁, 1997年)
MCR27
MCR27形マルチリレーは、監視・計測・制御・保護・伝送の機能を使いやすくコンパクトに機能集中した、静止形の複合デジタルリレーです。
特長
- 耐ノイズ性を向上しています(従来製品対比1.5倍以上)。
- 液晶表示器の採用により、表示が見やすく、読みやすくなりました。
- スイッチギヤの配線を考慮した設計により、スイッチギヤのトータルコストダウンを実現します。
- Ethernetによる伝送機能をサポートし、システム構築が容易になります。
(株式会社東芝 電力・社会システム社 Webサイト製品情報ページより、2003年7月)
MCR26(海外向け)
スイッチギヤに必要な保護・計測・制御及び伝送機能を集約した複合型保護リレーとして、IEC60255(国際電気標準会議規格60255)に準拠した海外向けのマルチリレー、MCR26を開発した。
この製品は、耐ノイズ性を強化した回路設計と、単一部品故障による誤動作を防止する回路構成の採用により、従来品に比べて信頼性を向上させた。更に、デジタル出力とアナログ(トランスデューサ)出力の模擬出力、メッセージ伝送、事故波形記録、及び保護用と計測用の2CT (Current Transformer) 入力対応など、従来品よりいっそう充実した機能を備えている。
(東芝レビュー Vol.60 No.3 74頁, 2005年)
MCR20R/22R
1980年後半に製品化し市場へ投入してきた、マルチリレーMCR20形及び22形が、納入後15年以上経過しており更新時期を迎えている。今回、これらMCRの更新(レトロフィット)用として、MCR20R形及び22R形マルチリレーを開発した。
この製品は、2003年開発の現在機種MCR27形の回路設計を継承し高い信頼性を確保するとともに、従来機種に故障解析・自己監視機能を追加し、更に、液晶の採用によりユーザーインタフェースの視認性を向上させた。また、配線互換を考慮した設計や盤面加工が不要となるフレームサイズの採用により、従来型との互換性を持たせ、交換作業時間を短縮させた。
(東芝レビュー Vol.62 No.3 94頁, 2007年)
MCR21R/24R
1988年以降に製品化し市場投入してきたMCR21形及びMCR24形マルチリレーが、納入後12年以上を経過して更新時期を迎えている。今回、これらの更新(レトロフィット)用として、MCR21R形及びMCR24R形マルチリレーを開発した。
この製品は、現行機種(MCR27形)の回路設計を継承して高い信頼性を確保するとともに、従来機種と取り付けの互換性を持たせ交換作業時間の短縮を図った。また、従来機能を搭載するとともに故障解析機能や自己監視機能を充実させ、液晶の採用によりユーザーインタフェースを向上させた製品である。
(東芝レビュー Vol.63 No.3 94頁, 2008年)
MCR25R
従来機種に新機種を付加して、取り付け互換性がある(レトロフィットタイプ)更新マルチリレーMCR20R, 21R, 22R, 24Rを、2004年から順次開発してきた。このたびMCR25形マルチリレーのレトロフィットタイプとして、MCR25R形マルチリレーを開発した。
主な特徴は、次の通りである。
- 最新機種(MCR28形)の回路設計の採用
- 従来機種(MCR25形)と取り付けや配線を合わせることにより交換作業時間の短縮。
- ノイズ耐量を強化するなどの信頼性向上
- 液晶パネルの採用によるユーザーインタフェースの向上
(東芝レビュー Vol.66 No.3 79頁, 2011年)
MCR28
1枚目の写真はLCDモデル。2枚目の写真はVFDモデル。
MCR28は、現行機種であるMCR27をベースにして高い信頼性を確保するとともに、デマンド計測機能や高調波計測機能を付加し、高機能化を図った。また、制御電源MCCB(配線用遮断器)の取込み、コネクタ付きケーブルの採用、及び制御機能の充実により、制御配線の省力化を図り、スイッチギヤとしての使いやすさと作りやすさを向上させている。
(東芝レビュー Vol.66 No.3 72頁, 2011年)