Image: 昔のコンピュータの雷サージ対策「電源を切り、通信線を外し、基板を抜く」

30年くらい前に建った古い物件の大改修が終わり、電気室の新しい設備に変なところがないか見て欲しいと言うことで行ってきた。前の設備は完全に撤去され、どんなものが入っていたか全く分からなかったが、その床下で面白いものを見つけた。それは「雷発生時のRSの対応について」という古い手書きの手順書だ。

ちなみにRSとはリモートステーション盤の略で、各設備の状態や異常信号を集約して防災センターや守衛室にある中央監視装置へ伝送する役割がある。

この簡単な手順書だけで時代を感じられる。

  1. 中央処理 (MCU) のフロッピーを抜いて、キーをOFFにする。
  2. UPSの電源をOFFにする。
  3. MCU内部の通信線、シールド線、アース線を外す。
  4. RSのMCBユニットのブレーカーをOFFにする。
  5. RSのEEUユニット内のプリント基板を全て抜いて外す。

冒頭から「フロッピー」という死語が飛び出すが、それはまあいい。コンピュータの電源を鍵で入切するというのも時代を感じる。「内部の通信線を外す」!?…盤内配線に手を加えると言うだけでも現在からすればなかなかイレギュラーだ。添付されている図を見るに、端子台から外すようだが、手で外れるものなのかドライバーが必要かは分からない。「ブレーカーをOFFにする」というのは、これによってRS盤の電源が切れるのだろう。「プリント基板を全て抜く」!?盤内のバックプレーンに接続されているB5サイズくらいの基板を抜いて外すらしいのだが、静電気対策など頭にない素人にそんなことをさせて良いのだろうか。これでもメーカーが書いた手順書である。


これは特殊な例として、雷対策としてコンセントや電話線を抜くというのは昔から行われている確実な方法だ。

そう言えば小学校の頃、コンピューター室には分電盤があって、先生は部屋の鍵を開けるとまず分電盤のブレーカーを入れていた。授業が終わると先生はパソコンの電源が全て切れていることを確認し、ブレーカーを切っていた。当時は生徒の不正利用対策か省エネかと思っていたが、そもそも普段は部屋が施錠されているし、パソコンの電源スイッチは車のハザードスイッチのように押し込んだときだけONになるものだったから、OFF時の待機電力はゼロに等しい。実は雷対策だったんじゃないかと思う。

私が今居る建物はしっかり雷対策されている。外壁のカーテンウォールはそれ自体がアルミ製で電気をアースに流すし、鉄骨も電線で相互に接続し、直撃雷を受けたときに建物内で電位差が生じないよう等電位化を図っている。電話基地局など重要な弱電設備の電源ラインにはSPD (避雷器) が入っている。雷雲でテレビやUSENに電波障害が起きたことはあるが、電源繋ぎっぱなしで機器が故障したという話はこの5年間で聞いたことない。

電柱から低圧電気を引き込む一般家庭や小規模ビルでは雷サージ対策が必要だ。パソコンのサポート屋をやっていたある日、その日はゲリラ豪雨に遭った翌日で、平日にも関わらず「電源が入らない」と言ってパソコンを持ち込んできた客が5人くらい居た。私は家では雷サージ吸収機能が付いたOAタップを使用しているためか、今までそういう故障に出くわしたことがないので、そういう事象が本当にあるのかと感心してしまった。値段は普通のOAタップとそう大して変わらないので、買うなら絶対に雷サージ吸収機能が付いたものを選んだ方が良い。

トップの写真はCardcage by tony_duell from flickrより。


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