電気技術者に求められるシーケンス読解力
電気設備に関わっているとシーケンス図(あるいは展開接続図)は避けて通れない。電気主任技術者の資格を勉強していると、ORやANDといった論理回路の基礎、フィードバック制御の基礎など、シーケンスに通じるものは出てくるが、試験問題でシーケンス図そのものが出てくることは多分ない。
実務では、工事においても保守においてもシーケンス図を読むことがある。まあ常々というほどではないものの、読めないといざというときに困る。
例えば、キュービクルでとある開閉器を投入したいのに、何らかのインターロックが掛かっているのか投入できない。インターロックの説明やフローチャートを読んでみたが、原因が見当たらないという場合。説明やフローチャートは理解しやすいように簡潔に書こうとするあまり、書くべき説明が一部抜けていることがある。または、後から設計が変更されたために、フローチャートにその変更が反映されていないなど。そういうとき、シーケンス図の出番になる。
盤の試験においてもシーケンス図が必要になる。例えば、ある警報(外部出力などの動作)を実際の故障ではなく模擬で出したいとき、シーケンス図で警報が出る条件のリレーなどを調べて、そのリレーが動作するように端子を繋ぎ替えたり短絡したりする。あるいは、警報や操作の確認で実際に機器を動かすのではなく、リレーの動作だけを見るなど。
シーケンス図を読むのに知識はそれほど必要ない。スイッチとリレーのa接点・b接点が分かれば大体分かったようなもの。本当に複雑な処理をするのであれば、それはシーケンスではなくPLCなどのプログラム制御の出番になる。シーケンス図を読むのに必要なのは、一時記憶を使ったイメージ力。スイッチを押すとどことどこが繋がって、どういう条件が重なったときにリレーまでの電源ラインが繋がり、リレーが動作するのか。簡単なシーケンスなら1ページに表されるが、規模が大きくなると100ページを超えることもある。それはページをまたいで配線や器具を追いかける必要があるというだけで、基本的な読み方は同じ。
就職前からシーケンス図を読めるようになっておく必要はないが、その仕事に就いたんだったら、自分で学ぶくらいの姿勢は見せて欲しいと思う。