240516 日本の情報通信技術の博物館 [東京武蔵野 NTT技術史料館]
東京都武蔵野市にあるNTT技術史料館へ行ってきた。
このミュージアムは日本の電話電信技術がNTTとともにどのように発展してきたか、実際に使われていた多数の機器と共に展示・説明されている。
電話電信と一言で言っても、細かい分類にすると多岐にわたる。ファックスやテレビ電話、電波、光通信、携帯電話、電話局、電話交換機、電信、海底ケーブルや内線電話の技術といった普通の人には馴染みがない裏側まであり、ボリュームはかなりの量。全部の解説を読みながら見ていったら3時間以上はかかるし、ものによっては解説を読んだところでその専門の技術知識がないと理解するのは難しい。一般の人には公衆電話と携帯電話くらいしか馴染みがないだろうし。
私は電気機械的な技術史に興味があるので、1970年代までのコーナーを中心にじっくり見ながら、後は要所を押さえつつ流し見で一応全部回った。
開館情報(2024年5月時点)
毎週木曜・金曜日の日中午後のみ一般公開。個人の場合、事前予約は不要。入館料は無料。コインロッカー無料(ディポジット100円)。
入場者の半分以上はNTTのグループ会社か協力会社の新入社員とみられる団体でしたが、個人の方も数人いました。しかし、後の写真を見ての通りかなりすいているので、周りを気にせずじっくり見られます。タイミングが良ければ、1人からでも元NTT技術者のボランティアガイドが付いて1対1で説明してくれます。マイペースで見たい人向けに説明動画を見られるタブレット端末の貸出もありますが、動画を全部見ていたら3時間で回れるかも怪しい。
交通アクセス
JR中央線 三鷹駅からバスに乗って10分ほど。武蔵野市役所の北裏手にある、NTT武蔵野技術開発センターに併設されている。
電話機の進化
入館して最初は黒電話を試せるコーナーがお出迎え。黒電話なんて見飽きたから見てもしょうもない?いやいや、電話機のダイヤルパルスでステップバイステップ交換機が実際に動くところが見られるんです!
今年一番心が躍った瞬間でした。局番からダイヤルすると、ラインスイッチからステップバイステップ交換機が次々にが動くという実演展示もあったようですが、現在は調整中で展示のみとなっています。残念。
パソコンやオフィスコンピュータが通信端末として普及するより前から電文のやり取りに使われていたテレックス。文献で知識はあってもあまり実感が伴っていなかったのですが、こうして現物を見ながら説明を読むと理解しやすい。
1階は威圧感を放つでっかい交換機設備架がずらりと並んでいる。どうやってミュージアムに持ち込んだんだろう。一度解体してまた組み立て直したんだろうか。これだけ大きな設備がまだ残っていて展示されていることもすごい。
クロスバー交換機。配線が凄まじい量になったことに違いない。
デジタル初期の電話交換機。お触り禁止ですが、展示に立入禁止柵などはなく、裏側も見ようと思えば見られます。
戦前から使われた、話中音を電気機械的に発生する装置。ほえ~。見た目はモーターそのまんまだ。
マイクロ波の中継設備。この辺は伝送技術の説明なのですが、マニアックすぎて分からない。
2階は80年代から90年代ということで、コンピュータやファックスといった電子技術の発達が著しい頃ですね。コンピュータ関連は今回の主目的ではなかったのですが、意外に興味深いものを沢山見られたので後ほど。
ケーブルラックが丸ごと展示されています。その部分だけ切り取ったかのように、紐までしっかり結んである。マイクロ波通信と並んでマニアックな展示。
3階は携帯電話とインターネット。ドコモのポケベルや携帯電話が勢ぞろいで並べて展示されている。携帯電話が登場する前にも、タクシーや船舶、航空機など限定用途で無線電話機が存在した。いずれも実物(モックもある?)が展示されている。
30年から40年以上前のものとは思えない状態の良さ。全体的にきれいに維持管理されていて素晴らしいです。