建物の雷保護システムと等電位ボンディング
トップ画像はJIS A 4201:2003 建築物等の雷保護(日本工業標準調査会、2003年)より。
電力と言うよりは建築全般の話になる。
ある建物の屋上に非常用発電機が格納されているコンクリート製の塔屋があって、その塔屋の屋根におよそ5m間隔で縦横グリッド状にアルミ電線が張り巡らされている。電線がアース線であって、避雷針的な雷対策だろうというのは何となく分かるのだが、奇妙なことに、塔屋内部の壁面も同じようにアルミ電線がグリッド状に張り巡らされている。こちらは避雷針とはまた違う意味がありそうなのだが、先輩たちに聞いても分かる人がいない。結局、自分で調べるしかない。
これは「等電位化」という雷対策の一種で、JISやIECの標準規格では「等電位ボンディング (Equipotential bonding) 」と呼ばれている。基本的な考え方は少し調べれば説明が出てくるので、ここでは言及しない。
→ 雷対策は等電位化を図ることとありますが、等電位化とはどういうことですか?- 富士電機
JIS A 4201:2003での用語に従えば、屋上のメッシュは外部雷保護システムの受雷部「メッシュ導体」にあたる。壁面のメッシュについては、縦方向は外部雷保護システムの「引下げ導線」、横方向は内部雷保護システムの等電位ボンディングの項にある「水平環状導体」にあたる。
等電位化の効果を引き出すには、建物内に設置する機器や電気設備とアース線との離隔距離も考慮する必要がある。つまり、建物に避雷設備を敷くだけでなく、建物内に設置される機器の配置、電源ラインのサージ保護装置の接続方法まで一体で考える必要がある。
塔屋については竣工図を調べてみたら、「危険物一般取扱所により避雷設備はJIS A 4201:2003の保護レベルIを適用する」と記載されていた。発電機用の重油タンクが設置されているので、雷サージ電圧による火花放電から火災に繋がる危険を防ぐため、特に厳重な避雷設備が施設されているのだと分かった。