Image: izo iHA-21EX USB-DAC内蔵ヘッドホンアンプ

izo(アイジオ)のDAC内蔵ヘッドホンアンプ「iHA-21EX」について。

izo iHA-21EX
価格 オープン(実勢価格75,800円)
出荷日 2012年4月-12月
対応機種 PC/AT互換機、Mac
対応OS Windows XP, Vista, 7, Mac OS X(10.6-)
機能 PCM再生(最大192kHz/24bit/2ch)
DirectX対応 (Windows)
ASIO 2.1対応(最大192kHz/24bit) (Windows)
Core Audio対応 (Mac OS X)
プリアンプ機能
入出力 アナログRCA(2ch)入力
光デジタル(S/PDIF)入力
同軸S/PDIF入力
USB1.1/2.0オーディオ入力
RCA出力 2ch x 1
標準ジャック出力 2ch x 1
同軸S/PDIF出力
付属品 本体
ACケーブル
ACアダプタ(DC15V/2A出力)
USBケーブル(COMS C3210 1.8m)
取扱説明書
ドライバーCD
備考 別売の高品質外部電源ユニット(iPSU-1)を接続可能。
後継機はiHA-21EX-2013。

後継機(マイナーチェンジモデル)のiHA-21EX-2013についてはこちらを参照。
izo 『iHA-21EX-2013』DAC内蔵ヘッドホンアンプ

iHA-21EX front
2012年3月製造(?)。日本製。購入時の価格は税込75,800円、うち10%ポイント還元で実質約68,000円。製造番号は200番台。今のところAmazonを含めてどこの通販でも75,800円で販売されている。

メインはヘッドホンアンプだが、リスニング用途に特化した再生専用USBオーディオインターフェースでもある。また、単体でS/PDIF入力のDACやアナログ入力のプリアンプとして使用することもできる。
本体はRoland UA-25を奥に少し大きくしたサイズ(上から見ると用紙のA5版にすっぽり収まる大きさ)で、ヘッドホンアンプ製品の中では入出力が多い方であるにもかかわらずコンパクトな筐体に収まっている。写真ではわかりにくいが、前面・背面パネルは細かくヘアライン加工が施されており、個人的にはとても気に入っている。表示灯は白色LEDで、写真では暗く見えるが実際は十分明るい。青色LEDの方がよかったという意見もあるようだが、私には青色LEDは眩しくて目に悪いのでこちらのほうがよい。音量つまみは使い始めは回していてざらざらした感触だったが、使っているうちに適度にスムーズに動くようになる。付属のUSBケーブルは韓国製で、ケーブル被覆は透明、端子は金メッキ加工してあるものの、高級ケーブルというわけではなさそうだ。

iHA-21EX Rear
背面パネル。アナログ出力は音量制御を通したプリアンプ出力と音量制御を通さないパススルー出力を選択できる。
アナログ入力と光/同軸デジタル(S/PDIF)入力は非常に役に立っている。特にアナログ入力はLUXMAN DA-100には無いので本機を選ぶ一つのきっかけになった。デジタル出力は、、、外部DACを接続することを想定しているようだが、今のところ使う機会はないかな。

iHA-21EX inside
iHA-21EXの内部。基板は2枚構成。上段は主にデジタル回路とDACが配置されている。
DSPはXMOS XS1-L1(XS1–L01A–TQ128–C4、400MIPS)で、もう一つ、電源や入出力の制御に使われていると思われるマイコンがある。デジタル音声入力のレシーバはCirrus Logic CS8416。DACはTexas Instruments PCM1795(ダイナミックレンジ123dB)。DACのマスタークロックのオシレーター(発振器)はFox ElectronicsのFOX924シリーズ12.288MHz。DAC部のI/V変換のオペアンプはマニュアルでは型番が明かされていない。写真では中央やや下のSOP8ピンのICがそれだと思われるが、これらのICにも印字は無い。
内部は思っていたよりも部品点数が少なくすっきりしていて、ほぼ同じ機能を持つであろうAudiotrak Dr.DAC2(Amazon)と比べてみるとかなり違う。
Dr.DAC2 Top Edition
写真はAudiotrak Japanのサイトより。画像は回転、縮小、トリミング加工している。

iHA-21EX PCB analog block
iHA-21EXの話に戻る。下段は電源入力部とアンプ部となっている。
DAC部とアンプ部のバッファ用オペアンプはNational Semiconductor LME49990。アンプ部増幅用オペアンプはLME49710で交換可能。RCA出力部バッファ用オペアンプはLME49720でこちらも交換可能。
AXICOM製のリレーが4個あり、電源のオン・オフや出力の切り替えでカチカチと音が鳴る。ヘッドホン端子はノイトリック製。音量つまみ(可変抵抗)はアルプス電気製。アルミ電解コンデンサは電源部の1個のみニチコンのHEシリーズで、他はPanasonic(松下電器産業)のFMシリーズ。フィルムコンデンサはWIMA製。さすがに7万円するだけあって、各種部品も高級・高品質なものが使われている。

○エージングはまだだがとりあえず感想

はじめに断っておくと、私はオーディオにそれほど精通していない。基本的にソースはゲーム以外では圧縮音源(ATRAC3plus 256kbps)で、各種ケーブルは一般的なものしか使っていない。
ヘッドホンはゼンハイザーのHD598。アンプのエージングは30時間程度(未完)。付属のUSBケーブルでPCと接続してx-アプリ V3.0.03でATRAC3plus 256kbps(DSEE有効)の楽曲を16bit/44.1kHzで再生。よく聴くジャンルはJ-POP、ロック、テクノ、ゲームのサウンドトラックなど。この価格帯になってくると音源自体の質がよくない楽曲が多いJ-POPよりもジャズやクラシックを聴く人が多いだろうから、このレビューはあまり参考にならないだろう。

音質を相対的に評価すると、これまで紹介したサウンドカードに例えればSound Blaster Audigy 2 ZSとXonar Essence STXの関係に似ている。Xonarと比べると、低音は少し引っ込んでよりフラット寄りになるが、超低音までしっかり聞こえる。音の迫力はXonarの方が勝っている。Xonarで薄く掛かっていたベールは取れて非常にクリアな音で、解像度の向上を実感した。ただ、高音までしっかり鳴らすので、慣れないうちは楽曲やヘッドホンによっては聴き疲れしやすくなるかもしれない。ノイズは全くない。音場の広さはXonarとほぼ同程度。解像度が上がったせいか、本機の方がわずかに前方で音が鳴っている気がする。空間表現というべきか。総評すれば、劇的な違いをすぐに体感することはできなかったが、Xonarよりも2段階上のランクの音質だと感じた。
直感的(絶対的)に評価をすると、先ほど「Xonarと比べてフラット寄り」と表現したが、決してモニター的な音ではなく適度に空間表現や味付けがされている。他の方のレビューの言葉を借りるなら「暖色系」の音。実は本機を買う直前にオーディオテクニカのAT-HA26D(Amazon)を購入したのだが、音場が少し狭くフラットで寒色系の音が気に入らず、すぐに返品した。本機は高解像度でクリアな音でありながら、適度に空間を作り出して音を暖かく響かせてくれる。しかし立ち上がりは速いほう。J-POPを含めて様々なジャンルの楽曲に合うと感じた。

○その他気になった点(2012/07/23更新)

  • デジタル入力でUSB選択時にPCとUSBケーブルで接続していない、または、PCの電源が切れていると、光デジタル入力の音が出る。(マニュアルでは同軸デジタル入力が出力されると記載されている。)本来の仕様とは異なるのかもしれないが、個人的にはかなり役に立っている。
  • 連続で使用すると筐体が結構な熱(かいろを直接触った程度)を持つ。(夏だから?)
  • 電源をオフにしていても、コンセントを抜かない限り電源オン時と同じ量の電力を消費する。(TAP-TST7の計測では5~6W。)筐体も発熱する。
  • ACアダプター接続時にDC側を先につなごうとすると火花が散る。かなり危険なので、別紙かACアダプターの袋に警告を記載してほしい。
  • ゼロポップ回路搭載を宣伝しているにも関わらず、たまに電源オン・オフ時に大きな音で「ぷつっ」というポップノイズが出る。音量をゼロに絞っても改善せず。
  • 使用開始から約2週間後にコンデンサー不良が発覚。すぐに無償で部品交換の修理をしてもらえたが、今後が心配。
    iHA-21EX コンデンサー不良

○付属のACアダプターの接続手順について

マニュアルにも記載されているが、ACアダプターを接続するときは先にDC側端子を本体と接続してからコンセントに接続する。コンセントを接続してからDC側と本体を接続しようとしたところ火花が散ることがあったので、この点については注意してほしい。

○オペアンプの交換方法

マニュアルには交換可能なオペアンプの位置は記載されているが、交換手順は記載されていない。iHA-21の交換ガイドが公開されているので、これを参考にする。

○Windows用デバイスドライバーの入手

最新のドライバはこちらからダウンロードできる。
ドライバをインストールするとインジケーターにアイコンが追加される。ASIOのバッファ・レイテンシーの設定はここで行うことができる。

○Windows 8での使用

2012年11月時点では、izo USBドライバーV1.56ではWindows 8だとインストーラーのバージョンチェックに引っかかってドライバをインストールできない。ドライバを手動でインストールする方法はこちらを参照。

Windows 8でiHA-21EX(USB-DAC)を使う

○ubuntuでの使用

Ubuntu 12.04では何も操作をしなくてもすぐに使用できた。専用ドライバはないはずなので、汎用のドライバで動いているものと思われる。

○更新履歴

  • 2012/07/23 気になった点を追加
  • 2012/07/01 写真追加と細かい表現を訂正
  • 2012/06/27 PCサウンド機器展示室より分割・作成

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