日本語MS-Windows 3.1の概要 [PC/AT互換機]
Windows 3.1についてネット上に活用情報は転がっているものの、日本語版についての基本的な情報がない。そこで日本語Microsoft Windows 3.1についてここにまとめてみる。
○概要
→ Microsoft Windows 3.x [ja:Wikipedia]
Microsoft Windows 3.1 日本語版はマイクロソフト(PC/AT互換機用、PC-9800シリーズ用)、日本IBM(PS/55およびPC/AT互換機用)、日本電気(PC-9800シリーズ用)、富士通(FMRシリーズ用、FM Townsシリーズ用)など、各社から発売された。PC/AT互換機で動作するWindowsにはMicrosoft版とIBM版がある。
いずれも単体では動作せず、別売のIBM DOSまたはMS-DOSをハードディスクに導入した上で、DOS上からWindowsのセットアッププログラムを起動してハードディスクに導入する。
ちなみにPC/AT互換機で動く日本語版Windowsの最初のバージョンは3.0。下の画像は初期のDOS/V機の広告。(1991年)
○パッケージ外観写真
左上から、Microsoft MS-DOS 5.0/V対応版、Microsoft PC-9800シリーズ対応版、IBM版、NEC版。
IBM版以外のパッケージ写真は→ぱそこん倶楽部さんのサイトより拝借。
○カタログデータ
[Microsoft] マイクロソフト ウィンドウズ 3.1 日本語版 カタログ データ
■必要システム | |
コンピューター本体 | 80386SX以上のCPUを搭載しているIBM PC/AT互換機 |
必要ソフトウェア | Microsoft MS-DOS 5.0/Vおよび IBM DOS J5.02/V、またはそれ以降 |
最小稼動メモリ容量 | 4MB |
推奨メモリ容量 | 6MB以上 |
必要ディスク装置 | 最低 25MB以上のハードディスク空き容量 Windowsをハードディスクに組み込むために、 少なくとも 1台のフロッピーディスクドライブが必要 |
ディスプレイ | VGA互換ディスプレイアダプタ |
キーボード | 106日本語キーボード、AX日本語キーボード、101英語キーボード、 IBM5576-001/002/003、5523-Sキーボード |
マウス | マイクロソフト マウス、または互換マウス |
■パッケージ内容 | |
ディスク | FD12枚またはCD-ROM1枚 |
配布メディア | 3.5インチ FD、または CD-ROM |
マニュアル | お使いになる前に/今日から使える Windows3.1/機能ガイド/日本語入力ガイド |
発売元 | マイクロソフト株式会社 |
■価格(税抜) | |
Microsoft Windows Version 3.1 標準価格 19,800円 | |
Microsoft Mouse & Windows Version 3.1 標準価格 24,800円 |
一部内容はこちらのページを参考にしております。
"Microsoft Mouse & Windows Version 3.1"はWindows 3.1とマウス"Microsoft Mouse Version 2.0"(単体価格12,500円)とのセットです。
[IBM] 日本語Microsoft Windows Version 3.1 カタログ データ(差分のみ)
■必要システム | |
システム装置 | [PS/55 note] 5523-S0、N23SX、C23V、M23V、N27SX、N51SX/SLC、C52 486SLC [PS/55] 5510-S/T、5530-S/T/U/V/W、5535-S、5540-T、5550-S/T/V/W/N/Y、 5560-W/N、5570-T/V、5580-Y/W、8595-J [PS/V] 2405-W/Y/N、2410-Y/N [Thinkpad] 220、320、550BJ、720C [PS/55 Ultimedia] 9557-1BA/2BA |
必要ソフトウェア | IBM DOS J5.02/V以降 |
■パッケージ内容 | |
ディスク | 3.5インチ2HD(1.44MB)14枚またはCD-ROM1枚 |
マニュアル | お使いになる前に/今日から使えるWindows3.1/機能ガイド/ 日本語入力ガイド/IASインターフェースかな漢字変換プログラムを使うには |
発売元 | 日本アイ・ビー・エム株式会社 |
■価格(税抜) | |
日本語 Microsoft Windows V3.1 (ディスケット版) [5605-PEW] 標準価格 21,800円 |
○IBM版のMicrosoft版との違い
- DOSプロンプトとIBM DOSとの互換性・安定性を高めている。
- IAS準拠のかな漢字変換プログラム(IBM連文節変換プログラムやATOKなど)がWindows上で使える。(Windows標準のMS-IMEに切り替え可能。)
- PS/55プリンター(IBM 5577/5587)をサポート。
- PS/55高解像度ディスプレイII、XGAディスプレイアダプター/A、XGA-2表示アダプター/A、PS/V(ET4000チップ)、 ThinkPad(WD90C24、WD90C26チップ)のディスプレイドライバーが付属。(Microsoft版と同様のVGA用ディスプレイドライバーも付属。)
- システムフォントがPS/55仕様。ただしIBM DOS付属の$FONT.SYS以外のフォントドライバを使用している場合や、MS-DOS/V上でWindowsを使用している場合は、MSゴシックになる。
○各社から発売されたバージョン3.0以前の日本語MS-Windows
Windows 3.0以前はマイクロソフト社(日本法人)からは単体パッケージは販売されておらず、各PCメーカーからそれぞれが販売する機種に対応したWindowsが発売された。以下にその一部を挙げる。なお、当時のWindowsのキラーソフトである日本語版Excelの最初のバージョン「Microsoft Excel Version 2.1」は1989年5月に発売されている。
メーカー | 製品名 | 価格(円) | 発売日 | 対応機種 |
日本電気 | 日本語MS-Windows | - | 1986年12月 | PC-9801VX4/WNに付属 |
日本電気 | 日本語MS-Windows(Ver.1.01) | 20,000 | 1986年12月 | PC-9800シリーズ |
日本電気 | 日本語MS-Windows(Ver.1.02) | 20,000 | 1987年6月 | PC-9800シリーズ |
富士通 | 日本語MS-Windows Ver.2.0 | 20,000 | 1988年7月 | FMRシリーズ |
日本電気 | 日本語MS-Windows(Ver.2.0) | 21,000 | 1988年9月 | PC-9800シリーズ |
ソニー | MS-Windows 2.1 | ? | 1989年 | QuarterLシリーズ |
エプソン | MS-Windows Ver.2.11 | 20,000 | 1990年3月 | PC-286/386シリーズ |
日本電気 | 日本語MS-Windows(Ver.3.0) | 25,000 | 1991年1月 | PC-9800シリーズ |
富士通 | 日本語MS-Windows V3.0 | 25,000 | 1991年2月 | FMRシリーズ |
エプソン | 日本語MS-Windows V3.0 | 25,000 | 1991年7月 | PC-286/386シリーズ |
日本IBM | 日本語MS-Windows V3.0 | 25,000 | 1991年3月 | PS/55(DOS/V) |
東芝 | 日本語MS-Windows V3.0 | ? | 1991年4月 | J-3100シリーズ |
富士通 | 日本語MS-Windows V3.0 L12 | 25,000 | 1991年6月 | FM TOWNSシリーズ |
ソニー | 日本語MS-Windows Ver.3 | 35,000 | 1991年6月 | QuarterLシリーズ |
○Windows 3.1 OEMメーカー一覧
パッケージとして市販されていたかどうかまでは確認していないが、少なくとも下記のメーカーにはWindows 3.1がOEM供給されていた。
- ASTリサーチ
- AT&T情報システム
- NEC
- EPSON
- 沖電気
- 日本オリベッティ
- キヤノン
- コンパック
- 三洋電機
- ソニー
- 日本DEC
- DELL
- 東芝
- Panasonic
- 日立製作所
- 富士通(FMR, FM-TOWNS)
- マイクロソフト(MS-DOS/V, PC-98)
- 日本ユニシス
○日本語MS-Windowsの最初のバージョン
日本マイクロソフトの社史では、1987年6月に日本電気からNEC PC-9800シリーズ用に日本語MS-Windowsが発売されており、これが最初のMicrosoft Windows 1.0日本語版とある。しかし、実際はそれよりも前の1986年12月に発売されたNEC PC-9821VX4/WNで日本語MS-Windowsがプリインストールされており、ほぼ同時にPC-9800シリーズ用MS-Windowsの単体パッケージも発売されている。
それでは、1987年6月発売のMS-Windowsは何かというと、月刊アスキー1987年7月号には「表示スピードを高速化した」という説明があることから、初版の問題を改良したバグフィックス版だろう。
日本電気のMS-Windows V1.0はこちらが参考になる。
→ NEC PC-98版Windows Ver1.0とDOS Ver3.1 - 我楽多
Microsoft Windows 8 Pro DSP 限定版の特典封入BOXの裏面の一部。
日経コンピュータ1985年8月5日号に掲載された、アスキーによるMicrosoft Windows 1.0の広告。Microsoft日本法人設立以前はMicrosoftの製品はアスキーが扱っていた。結果的にWindows 1.0は発表から発売まで1年以上かかった。
○日本IBMから発売されたWindows V3.1(いずれも販売は終了しています。)
製品名 | プログラム番号 | 価格(円) | 販売開始日 | 販売終了日 | 最終リビジョン |
日本語 Microsoft Windows V3.1 | 5605-PEW | 21,800 | 1993年6月 | 1999年12月 | 3.10F(1997年10月) |
日本語 Microsoft Windows V3.1 (CD-ROM版) | 5605-PFW | ? | ? | 1999年12月 | |
日本語 Microsoft Windows V3.1 マニュアルなし | 5606-PEW | ? | ? | 1999年12月 | |
日本語 Microsoft Windows V3.1 (CD-ROM版) マニュアルなし | 5606-PFW | ? | ? | 1999年12月 | |
日本語 Microsoft Windows V3.1 マニュアルのみ | 9995-PEW | 5,000 | ? | 1999年12月 | - |
○IBM版MS-Windows 3.1Jの問題修正ディスケット(アップデータ)について
IBM版Win3.1用のバージョン3.10Fへのアップデータが現在もVectorサイトよりダウンロード入手できる。現在はマイクロソフトのサイトから削除されてしまった、ファイルマネージャー(WINFILE.EXE)の2000年問題の修正も含まれている。
修正ファイルが適用されたことを確認するには、DOS上で「C:\Windows\WINVER.EXE」を実行する。「[IBMJ]Windows J3.10F」と表示されれば修正ファイル適用済み。なお、後からプリンターのドライバーなどをWindows 3.1のセットアップディスケットから導入する場合は、3.10Fのアップデータを再度実行して修正ファイルを適用する。
○Win3.1をインストールする
Win3.1の実用的な情報は下記記事を参照。
→ DOS/VとWindows 3.1を動かす [PC/AT互換機]
○Win3.1のスクリーンショット
Win3.1のスクリーンショットは下記記事を参照。
→NEC版MS-Windows 3.1のスクリーンショット集 [PC98] (リンク切れ)
→DOSBoxにWindows 3.1日本語版を導入
○Win3.1付属のマニュアル類
資料名称 | 付属先 |
Quickユーザーズガイド | Windows 3.1がプリインストールされている機種 |
お使いになる前に | パッケージ版、マニュアル・パッケージ(9995-PEW) |
今日から使えるWindows 3.1 | |
機能ガイド | |
日本語入力ガイド(MS-IME for Windows) | |
IASインターフェースかな漢字変換プログラムを使うには |
各マニュアルの目次はこちらを参照。