Image: FILCO Majestouch NINJAキーボードを分解する

ダイヤテック FILCO FKBN104MRL/EFB2(Majestouch NINJA Cherry赤軸・フルサイズ・US配列) メカニカルキーボードを分解する。

本題に入る前に、このキーボードについての特徴を挙げておく。

  • 全てのキーでキートップ前面に印字。酷使してキートップの印字が薄れることを気をしなくてもいい。
  • キースイッチにメカニカルスイッチ(ドイツにあるZF Electronics社のCherry MX Red (通称赤軸))を採用している。
  • Nキーロールオーバー対応によりUSB接続の場合最大6キー、PS/2接続の場合全キー同時押し入力に対応。キーの押し加減に比例して重くなるリニアタイプ。
  • PS/2&USB接続が可能
  • NumLock等のLEDは赤色。
  • 印字とLED表示以外はMajestouch 2に準拠しているものと思われる。

この製品のよい点・悪い点

  • キーを押した感じはPC98のRDFキーボードに近いが、若干ストロークが長め。
  • ボディはかなりコンパクト。通常のキーボードは周囲の余白が1cm以上あるが、この製品は1cm以下。
  • 上下(縦の列)のキーでキートップの高さやカーブが異なる、ステップスカルプチャになっている。ただしPC98のキーボードは横の列でもキートップの高さが違っていたが、こちらは横の列では同じ形状のキートップが使われている。
  • キーボード本体は1.2kgと、最近のメンブレンキーボードと比べると重い。でもキーを勢いよく叩いているときの安定感がよいのでよしとする。
  • キースイッチはリニアタイプで、クリック感はないが、押し込んだときの音がメンブレンキーボードと比べると大きい。キーを強く押し込むことが癖になっている人にはお勧めできない。
  • キーを押すときにこすれる感じがするが、使っていく内にスムーズになるのだろうか。
  • ケーブルをキーボード中央からしか引き出せないので、3cmほど奥に空間が必要。ケーブルを左右からも引き出せたら便利だろう。

メカニカルキーボードとはキースイッチに機械式スイッチを使ったキーボードのこと。ほとんどのパソコンのキーボードはメンブレンキーボード。メンブレンキーボードは、接点を持ったシートの上に突起の付いたゴムを敷いて、突起の上にキートップが乗る。キートップを押すとゴムが押されてシートの接点がくっつく。対してメカニカルキーボードは、一個一個のスイッチにキートップがついている。スイッチは直接基板に接続されており、裏板全体が基板として使えるため、Nキーロールオーバー機能や電流逆流防止機構を実装しやすい。
下の写真はメンブレンシートとその上のゴムシート。
Memblen sheet

○解体する

さっそくキーボードを解体してみる。分解すると無償保証が無効になるので注意。解体方法は単純だが、わりと苦労した。

キーボードのボディは手前側がツメ、奥がネジで固定されている。

1. 裏面の左・中・右の3カ所のネジを外す。

2. キーボードのキーが並んでいる手前のボディ部分を内側から外側に強く押すと、裏面のツメ付近に隙間ができるので、そこにマイナスドライバー等を差し込む。壊さない程度にマイナスドライバーでこじ開けるようにすると、ツメが外れる。

3. 上面のカバーを水平に持ち上げる。その時ケーブルが一緒に持ち上がらないように押さえておく。ケーブルは底面のボディにはめ込まれているので、無理矢理引っ張って断線させないように。

○写真展示スペース

キーボード おもて
Top view

うらの製品表示

製品名が「Majestouch 2」になっている。型番はFILCKF15。製造国は台湾。製造年月は2012年4月。製造番号は181番。購入したのは発売から数ヶ月後だったが、あまり売れていないのだろうか。

ボディカバーを外したところ
Removing cover
ボディは水などが混入しても排水できるような作りにはなっていない。底面に穴が一切無いことと仕切りが排水を邪魔する。万一、水などが入った場合はキーボード本体を斜め逆さにして液体を角に寄せて出す。

制御基板
Control board

裏面の基板回路

下の方にFILCOの文字がある。
基板の素材はガラスエポキシっぽい。メーカーの商品説明に「新たに2層基板を採用」とあるから、初代Majestouchは紙エポキシだったのだろうか。

キーを斜め上から見たところ
Side view of key caps
キートップは付属の引き抜き器で簡単に外すことができる。

キースイッチ (Cherry MX Red リニアタイプ メカニカルスイッチ)
Cherry MX Red Linear type Mechanical switch
スイッチは裏の基板に半田付けされている上に鉄板で固定されている。道具や方法次第で外すことは可能だが、結構大変。

ぱっと見た感想、丁寧に作られているなと思った。これが1万円で手に入るのだから、これと言って不満はないのだが、欲を言えば先に挙げたケーブルの引き出し口、ボディの排水穴、打鍵時の音がもっと小さければいいと思う。


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