Image: 210923 電気の道に進んだきっかけと『学研の図鑑 電気』

私が小学生の頃に思い描いていた「将来なりたい職業」は鮮明には思い出せないが、今でもはっきり覚えている思い出がある。小学校低学年の頃に学研の電気の本を読み、発電所や変電所の立面図を見ながら、これを管理してみたいと思っていた。

でもよく考えると、別に電気じゃなくても水道や鉄道、あるいはどっかの工場でもよくて、私はとにかく設備を自由に触りたかったのだろう。テレビや映画に出てくる操作盤や配管・バルブを見てはワクワクしていた。学校の階段下には何かの分電盤がひっそりたたずんでいて、その赤と緑のパイロットランプを見上げては格好良いと思った。何なら勝手に触ろうかとも思ったが、さすがにそれは我慢した。校外学習での浄水場やダム、ゴミ焼却場の見学も良い経験だった。

ああ、色々思い出してきた。その頃は、自分が技術員として設備を操作している場面をしょっちゅう想像していた。今思えば変な子どもだったと思うが、当時から自分が変な好奇心を持っていることは自覚していた。ただ、設備管理という裏方の地味な仕事を当時は知るはずなく、将来なりたい職業は「エンジニア」とか漠然と答えていたのかもしれない。

その頃の調べ物と言えば学校の図書室か公共の図書館で本を探すことだった。学校には既にパソコンがあったが、田舎だったせいかWindowsでもMacでもなく、立ち上げるとMS-DOSっぽい画面にソフトを選ぶ選択肢が表示される代物だった。マウスすらあったかどうか怪しい。当然ネットは使えない。ネットカフぇ?ナニソレ?

図書館ではよく科学関係の棚を見に行ったが、小学生の興味を引く本は限られている。その中で「学研の図鑑」シリーズはよく読んだ。学研の図鑑 50周年記念サイトを見ると、幾つか見覚えのある表紙が出てくる。生物関係もそれなりに読んだが、当時から既に理系分野が好きだったのか「星・星座」「数・形」の表紙は印象に残っている。さすがに内容は覚えていない。唯一覚えているのが最初に挙げた「電気」の中の見開き1ページの印象だ。


小学生のうちは理科全般が好きだった中で、電気に最も興味を持っていた。自由研究もよく電気関係でテーマを考えた記憶がある。ただ、我が家にパソコンが入ってから徐々に興味が変わった。パソコンのコモディティ化の波が来ていた時代。中学の頃には完全にITに興味が向いていて、電気はもう眼中になかった。

中学の時、ITを専攻するか進学校を目指すかで悩んだ。進路相談で校長から「悩んでいるなら道を狭めるよりも、進学を選んで先送りするというのも一つの手だ。」という助言を受け、進学に気持ちが傾いた。興味ない分野の勉強を続けるのは嫌だったが、辛抱した。

高校に進んでもITへの熱は依然強かった。ところが大学について調べていたとき、名大に情報学科がないことに気付いた。当時の名大は電気電子と情報工学が一つの学科で、2年生以降からコースで分かれていた。ここで電気電子という選択が浮上してきたのだ。ITは興味はあるけども、果たして仕事にして良いものかという不安も生じていた。

高3の頃には工学系ならどこでも良い気がしていた。その頃のことはあまり語りたくないが、精神状態が最悪だった。おそらく、思春期特有の多感さに加えて寝不足が悪循環を生んでいた。一時はテストの成績が学年で下から何番目という所まで落ちた。度々死にたいと思っては、それは親不孝だと考えて自分を保つのが精一杯だった。部活やクラスメートの友人の支えがあって、何とか大学に進学できた。

順風満帆であれば製品開発の道に進んでいたはずだが、それからビルメンの仕事に入って電気主任技術者になるまでには紆余曲折あった。まあ、私としてはこうして子どもの頃の夢が思いがけず実現することになった。満足ではないが、今がよければそれでいい。


「電気」の初版は1975年だが、その後1998年までに何度か改訂されている。表紙は2種類あるが、どちらも見覚えがあるようなないような。正直言って先に上げた「数・形」や宇宙関係の方が内容は見応えあった気がする。まあそれはさておき、近隣の図書館にこの本がありそうなので、私が読んでいた版とは違うかもしれないが、それを借りて改めて読んでみようと思う。

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