Image: IBM PS/55 モデル5550-S/T/V 各種ピン割り当て

PS/55の内部インターフェースは独自規格ばかりですが、どんな信号が通っているか知るだけでも問題解決の時にはヒントになると思いますので、ここに各種インターフェイスのピン割り当てを記します。

ディスケット・ドライブ

外部端子は40ピンカードエッジ。ドライブ上に変換基板があり、ドライブの34ピン端子とフレキシブルフラットケーブルで直付けされています。よって一般に出回っている34ピンFDDを取り付けるには高度な細工をする必要がありそうです。

→ Floppy Drive Pinouts - http://www.walshcomptech.com/ohlandl/floppy/Floppy_Pinouts.html

アダプター内蔵ハード・ディスク

一部ではESDIハードディスクと呼ばれていますが、実体はESDI(ロットによってはST-506)ハードディスクとDBA(Direct Bus Attachment)用インターフェイスの複合ユニットです。外部端子は72ピンカードエッジでシステムバス(DBA)と直結しており、これに対してESDIインターフェイスのハードディスクを接続することはできません。これの交換部品を探すよりは、MCAバス用のSCSI I/FとSCSI-HDを探す方がベターでしょう。

Pin I/O Signal Pin I/O Signal
    Side A     Side B
1 O -CD SETUP 1 O A15
2 O A13 2 O A14
3 N/A Ground 3 N/A Ground
4 O A11 4 O 14.3MHz Osc
5 O A10 5 N/A Ground
6 O A09 6 O A12
7 N/A +5Vdc 7 O -CMD
8 O A08 8 I -CD SFDBK
9 O A07 9 N/A Ground
10 O A06 10 I/O D01
11 N/A Ground 11 I/O D03
12 O A05 12 I/O D04
13 O A04 13 N/A Ground
14 O A03 14 O CHRESET
15 O +5Vdc 15 I/O D08
16 O A02 16 I/O D09
17 O A01 17 N/A Ground
18 O A00 18 I/O D12
19 O +12Vdc 19 I/O D14
20 O -ADL 20 I/O D15
21 I -PREEMPT 21 N/A Ground
22 I -BURST 22 I/O D00
23 O +5Vdc 23 I/O D02
24 I ARB 00 24 I/O D05
25 I ARB 01 25 N/A Ground
26 I ARB 02 26 I/O D06
27 N/A +12Vdc 27 I/O D07
28 I ARB 03 28 I/O D10
29 O ARB/-GNT 29 N/A Ground
30 O -TC 30 I/O D11
31 N/A +5Vdc 31 I/O D13
32 O -SO 32 O -SBHE
33 O -S1 33 N/A Ground
34 O M/-IO 34 I -CD DS 16
35 N/A Ground 35 I -IRQ14
36 I CD CHRDY 36 N/A Ground

システム・ボード・コネクター

Image: INTERPOSER CARD 23F3347

ディスケットドライブやハードディスクドライブとシステムボードとを繋ぐライザーボード。INTERPOSER CARDと記載されているボードのシステム・ボード側端子のピン割り当て。

Pin I/O Signal Pin I/O Signal
    Side A     Side B
1 O -High Density Select 1 I -Drive 2 installed
2 O +12Vdc 2 O +12Vdc
3 O +12Vdc 3 O +12Vdc
4 O +5Vdc 4 I CD CHRDY
5 I -Index 5 O M/-IO
6 O -Motor Enable 1 6 N/A Ground
7 O -Drive Select 0 7 O -S1
8 N/A Ground 8 O +5Vdc
9 O -Drive Select 1 9 O -SO
10 O -Motor Enable 0 10 N/A Ground
11 O -Direction In 11 N/A Reserved
12 N/A Ground 12 O -TC
13 O -Step 13 O ARB/-GNT
14 O --Write Data 14 N/A Ground
15 O -Write Enable 15 I/O ARB 03
16 N/A Frame Ground 16 I/O ARB 02
17 I -Track 0 17 I/O ARB 01
18 I -Write Protect 18 o Frame Ground
19 I -Read Data 19 N/A Reserved
20 O -Head 1 Select 20 I/O ARB 00
21 I -Diskette Change 21 I -BURST
22 I -IRQ 14 22 N/A Ground
23 I -CD DS 16 23 I -PREEMPT
24 N/A Ground 24 O +5Vdc
25 O -SBHE 25 O -ADL
26 I/O D13 26 N/A Ground
27 O +12Vdc 27 O +12Vdc
28 I/O D11 28 O A00
29 I/O D10 29 O A01
30 I/O D07 30 N/A Ground
31 I/O D06 31 O A02
32 N/A Grount 32 O +5Vdc
33 I/O D05 33 O A03
34 I/O D02 34 N/A Ground
35 O +12Vdc 35 O +12Vdc
36 I/O D00 36 O A04
37 I/O D15 37 O A05
38 I/O D14 38 N/A Ground
39 I/O D12 39 O A06
40 N/A Ground 40 O +5Vdc
41 I/O D09 41 O A07
42 I/O D08 42 N/A Ground
43 O CHRESET 43 N/A Reserved
44 O +5Vdc 44 N/A Reserved
45 I/O D04 45 O A08
46 N/A Key 46 N/A Key
47 N/A Key 47 N/A Key
48 N/A Ground 48 O +5Vdc
49 I/O D03 49 O A09
50 I/O D01 50 N/A Ground
51 I -CD SFDBK 51 O A10
52 N/A Ground 52 O +5Vdc
53 O -CMD 53 O A11
54 O A12 54 N/A Ground
55 O 14.3MHz Osc 55 O A13
56 N/A Ground 56 O +5Vdc
57 O A14 57 O -CD SETUP
58 O A15 58 N/A Ground

電源ユニット

50ピンカードエッジコネクター。IBM PS/2 model 50(8550)と同じ。下記ページ参照。

→ 8570 Power - http://ps-2.kev009.com/ohlandl/8570/8550-8570_Power.html

マイクロチャネル・アーキテクチャー

詳細は省きますが、16ビットと32ビットの2種類の端子が存在します。さらに、16ビットの端子には「補助ビデオ拡張(Video Extension)」、32ビットの端子には「マッチドメモリ拡張(Matched Memory Extension)」のピンがオプションで実装されます。16ビットのMCAアダプターは32ビットの端子に接続できますが、その逆は物理的に接続できないようになっています。念のため、16ビットMCAはATバス(ISAバス)とは互換性がないので、あしからず。

ディスプレイ・アダプターⅡ

Image: IBM PS55 Display Adapter II
File:IBM PS55 Display Adapter II.jpg - Wikimedia Commons

PS/55の最大の特色とも言える、日本語表示をハードウェアで実現する標準搭載グラフィックボード。PS/55初代機のモデル5570-Sのみに搭載されたディスプレイ・アダプターと区別して、「ディスプレイ・アダプターⅡ型」と呼ばれる機能を持っています。後期モデルはディスプレイ・アダプターⅢ、Ⅳ、Ⅴと派生していきますが、アーキテクチャーはⅡ型と同じと思われます。本ボードはVideo Extension付き16ビットMCAバスに接続します。

ディスプレイ出力の端子は現在一般的に使われているHD15のVGA端子と互換性があり、Monitor IDのピンがReservedになっていること以外はオリジナルのPS/2とほぼ同じです。ただ、現在DDC用に+5Vが割り当てられているところに+12Vが出力されており、これが現行ディスプレイとの接続時に問題になるかもしれません。噂によると、このピンはPS/55純正ディスプレイの電源連動投入のために使われていたようです。私は普通にDDC対応ディスプレイに繋いでいますが、特に不具合は起きていません。

OS/2用ディスプレイドライバーをリバースエンジニアリングしたところ、ディスプレイ・アダプターのI/Oポートから4ビットのモニターIDを取得できることが分かっています。ディスプレイ・タイプの判別に使われるIDがIBM 8514やIBM 8515のIDと一致することから、ReservedとなっているピンからXGAなどと同様にモニターIDを検出している可能性が高いです。

Pin I/O 信号名
1 O Red
2 O Green
3 O Blue
4 NA Reserved (Monitor ID 2?)
5 NA Reserved
6 NA Red Ground
7 NA Green Ground
8 NA Blue Ground
9 O +12V
10 NA Digital Ground
11 NA Reserved (Monitor ID 0?)
12 NA Reserved (Monitor ID 1?)
13 O H Sync
14 O V Sync
15 NA Reserved (Monitor ID 3?)

参考文献

  • 日本アイ・ビー・エム株式会社『IBM PS/55 ハードウェア モデル5550-S/T/V 技術解説書』、オーム社、1990年
  • 日本アイ・ビー・エム株式会社『IBM PS/55 ハードウェア ハードウェア・インターフェース技術解説書』、オーム社、1990年

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