1990年にASTリサーチジャパンから発売されたPC-9801/ATデュアル互換機『DualStation 386SX/16』について。
昔のPC雑誌(月刊アスキー 1991年3月号)を手に入れたのでパラパラと読んでいたのだが、当時の新機種の特集で気になる記事を見つけた。NECの競合メーカーが作ったPC98互換機としてエプソンPCシリーズやシャープMZ-2861が存在したことは知っていたが、かつて存在した大手PC/AT互換機メーカーのASTからもPC98互換機が出ていたらしい。こいつはPC98互換機としてだけでなく、動作モードを切り替えることでPC/AT互換機としても使うことができる。
スペックは以下の通り。
| 機種名 | DualStation 386SX/16 | ||
| モデル5 | モデル45 | モデル115 | |
| 発売元 | エーエスティーリサーチ・ジャパン | ||
| 発表日 | 1990年4月 | ||
| CPU | Intel 80386SX 16MHz | ||
| 標準搭載メモリ | 1MB | ||
| 最大搭載可能メモリ | 16MB | ||
| キーボード | PC-9801RA相当、ATキーボード(別売) | ||
| フロッピーディスクドライブ | 5.25インチ 2DD/2HD/2HC x 2台 | ||
| ハードディスクドライブ | なし | 40MB | 110MB |
| 表示機能 | PC-9801互換、VGAアダプタ(オプション) | ||
| 外部インターフェイス | バスマウス、RS-232C、プリンタ、アナログモニタ | ||
| 拡張スロット | 5スロット/16ビットバス、1スロット/8ビットバス | ||
| 外形寸法(mm) | 410(W)x410(D)x180(H) | ||
| 本体重量 | 13kg | ||
| OS | なし(オプション) | ||
| 標準価格(本体+キーボード) | ¥389,000 | ¥499,000 | ¥569,000 |
ハードウェア・アーキテクチャーは基本的にPC-9801互換で、PC/AT互換機として使用するには別売のVGAビギーパックアダプタ(¥26,000)が必要。ただし拡張スロットはATスロットになっており、PC98用の拡張ボードが使えない。ハードディスクはESDI/IDEタイプのものを内蔵できる。シリアル/パラレルポートはBIOSレベルでは両モード対応しているが、ハードウェアレベルでは98モードのみの対応で、ATモードに対応させるには別売オプションが必要。98モード用のOSは用意されないので、NECやEPSONからMS-DOSを購入することになる。標準構成だとなんとも中途半端な仕様だ。
ググっても詳しい情報が1つも出てこないところを見ると、注目度に反して売れ行きはあまりよくなかったのだろうか。それだけでなく、ビジネス用途を意識したモデルなので今となっては話題に上がってこないのだろう。ネットに上がってこない情報もまだまだあるもんだなー。


(月刊アスキー 1991年3月号 Product Showcase より)