※この記事は興味本位から調べて書いたものであり、恐らく正確性を欠いています。
電気に携わるエンジニアとして、27、43、51、52、59、67、89という数字にはなじみ深い。これらの『制御器具番号』は盤メーカーの業界団体である日本電機工業会 (JEMA) によって JEM 1090 制御器具番号(JEM 1091~1093を含む)として定められている。この規格の中身を見てみると、番号はある程度のグループで固まっているであろう事は分かるが、標準規格にしては整然としていない。そこで、この規格の成立過程を調べれば、ある程度見えてくるんじゃないかと思った。
この規格の起源は古く、戦前にさかのぼる。JEMAの前身の日本電機製造協会 (JEM) よりさらに前、「八日会」という名前だった時の1938年に八日会標準No.15として制定された。この頃の技術書や業界誌を調べてみると、1928年4月にアメリカ電気学会 (AIEE) が策定した標準規格 “Automatic Stations - Standard No.26” やその元になったとみられるアメリカ電機工業会 (NEMA) のガイドラインを参考にしていることが分かった。この米国標準規格は1937年にASA標準(現在のANSI/IEEE Standard C37.2)になった。
下の画像はその当時の交流水力発電所の自動始動盤を例に挙げ、各欄の番号は現在の日本の制御器具番号に通じるものがある(資料1)。

これは初めJEM第15号として主にアメリカの規格に準拠し、昭和13年10月制定されたものである。アメリカ規格の初期のものは、電鉄用回転変流器を対象として制定され、その起動順序に大体順応して器具番号を定めたようであるが、その後、水力発電所その他にも適用することになり、一部改訂して、一般に使用されていた。(資料2)
つまり、もともとは直流電車用に電源を供給する交直変換所の自動制御を想定して作られた番号体系を、発送配電の分野に拡大して当てはめていったということらしい。後のアナログリレー時代に送電線保護に使われた「16:表示線監視継電器」などはJEM規格になった後の改正で加えられた部分であり、順番の整合性が失われている。また、52は「交流遮断器 (AC Breaker or Contactor)」を意味していたことに対し、当初の89は電車線の「直流断路器 (Direct-Current Line Switch)」を意味しており、直流関係には後ろの番号が割り当てられていたが、1954年にJEM 1090として発変電所向けに適合した改訂版が策定された際に89が交流も含む「断路器」を意味することになり、当初の番号付けの意味が失われた。この改正時に順序を改める意見があったようだが、既に広く運用されている部分を変えるのは難しかったようだ。
JEM 15自動制御器具番号は主として米国の規格に準拠し、昭和13年10月制定されたのであるが、その後技術の進歩、変遷により実施上支障を生じたのでここに更めて再検討を加え本文の如く改訂した。今回の改訂に際し器具番号の配列順序を根本的に改訂したいとの意見も合ったが長年の慣習を無視することも出来ないので、その一部を改訂することに留めた。(資料3)
参考資料
- Industrial Standization January 1938 - Google Books
- 左治木清六, 真島恒雄, 松田辰司『電気製図 : 見方と書き方』120頁、電気書院、1956年。
- 「附録:JEM 1090 自動制御器具番号」『電気協同研究』10巻3号、36頁、1954年。