Image: 190213 VN『空に刻んだパラレログラム』(2018年)感想

ビジュアルノベル『空に刻んだパラレログラム』(ウグイスカグラ / 2018年)の感想。18歳未満の方の閲覧はご遠慮下さい。

感想 (No.57)

シナリオ

ストーリーはメインとなるのがチームを優勝に導く友情重視のトゥルーエンドと、途中でチームを解散して一人のヒロインと結ばれる個別エンドがある。共通部分だけでも練習試合を繰り返すので相当なボリュームがあるが、そこからのトゥルールートは本当に長い。登場人物紹介に出てくる選手19名全ての競技人生に触れ、試合ではそれぞれの「見せ場」が用意されている。各登場人物がそれぞれどういう過去を抱え、どんな心情で一つの試合に臨んでいるのか。チームでの信頼関係がどう成り立ったのか。ライバルへの劣等感やスランプ、内輪もめをどう克服するか。熱いスポ根ドラマを描いている。

それに比べると個別ルートの方はヒロインがトントン拍子で壁を乗り越えていくので、あっさりした終わり方になっている。恋する女は最強ということか。

試合は心理戦、心情描写、駆け引きにかなりの文章量が割かれているためか、アクション系ライトノベルのような流れる爽快感はない。むしろコンセプトにある「部活動というのは、かくも泥臭く、辛いものである。」が、試合でも展開されている。一手一手がスローモーションのように動き、テンポが掴みにくい。

設定は大体出尽くしたように見える。だが、紅の死と件の試合との関係とか、紅と柚との繋がりとか、本編では因果関係はないとしているけども、やはりそこに何か裏があることを期待してしまう。

グラフィック

画面解像度はHD (1280x720)。CG枚数は96枚(差分含まず)。CGのクオリティは背景共に良好。注目すべきは枚数よりも、試合中の雄姿が男女問わず全キャラ1枚絵で用意されていることだろう。ここに本作が何に注力しているのか、はっきり表れている。魔法粒子やアウルといった光と影の表現やキャラクターの迫力も見どころ。CGの質は良いので、もっと高解像度で見たかった。

システム

セーブスロット10個×9ページ、バックログはボイス再生のみ。音量設定がキャラクター別に設定できることを除けば、最低限の機能しかない。 (2019/02/13完了)


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