取引用電力メーター(特別高圧)の読み方
取引用電力量計・電力計(取引用電力メーター)の見方。以下、用語や解釈は中部電力ミライズ株式会社が規定する『基本契約要綱(特別高圧)』(2020年10月1日版)に基づく。
取引用電力メーターの接続
電力メーターは需要家構内受変電設備の主回路に計器用変圧変流器 (VCT) を介して接続される。電力メーターのパルスデータは受電線に並行して敷設される通信線を通じて一般送配電事業者へ送られる。VCTと電力メーター、付加設備は一般送配電事業者から支給される。
無停電での保守点検が求められる場合、特高受変電設備は2回線受電・2バンク構成を取り、各バンクにVCTを設置する2VCT方式とするか、片方をバイパスとする1VCT方式となる。バイパスを勝手に入れられると、電力メーターを迂回して受電するというズルができてしまうので、一般送配電事業者側でバイパス回路の開閉スイッチに封印を取り付ける。バイパス使用時は需要家が小売電気事業者と電気料金の扱いについて協定を結び、一般送配電事業者が封印を付け外しすることになる。
取引用電力メーター指針表示の流れ
- 使用電力量 (kWh)(=全日電力量)
- 時間帯別電力量 (kWh)(契約プランによっては表示されない)
- 有効電力量 (kWh)
- 無効電力量 (kVarh)
- 最大需要電力 (kW)(=最大電力)
以上の測定項目が前回検針時積算値と現在積算値のそれぞれについて表示される。前回検針時というのは毎月の計量日のことで、ここには1ヶ月間同じ数字が表示される。現在積算値はリアルタイムの数字。
各測定項目の意味
使用電力量(全日電力量)
24時間365日測定・積算される電力量を示す。
時間帯別電力量
時間帯(重負荷時間、昼間、夜間)で異なる電力量料金が適用される料金プランを契約している場合は、この測定項目が表示される。
有効電力量・無効電力量
毎日午前8時から午後10時までの時間において測定・積算される有効電力量・無効電力量を示す。基本料金の力率割引および割増しの為の力率計算に使用される。進み力率になっても無効電力量の加算は0のままであり、マイナスにはならない。これは要綱15 (4) ハ (イ) に記載されている「瞬間力率が進み力率となる場合には,その瞬間力率は,100パーセントといたします。」に則っている。
最大需要電力(最大電力)
前回検針以降、30分ごとに計測する需要電力の過去最大値が表示される。この数字が契約電力(デマンド電力)を超えると契約超過金が発生する。「30分ごと」が一定時間で区切られるのか、リアルタイムに30分平均を出しているのかは、小売電気事業者等へ確認を要する。
参考文献
- メーターの見方を教えてください | よくあるご質問 | ビジエネ|中部電力
- 中川, 雅之『本予備受電方式・ループ受電方式について』電気設備学会誌, 29巻10号, 一般社団法人 電気設備学会, 2009年, pp.812-817.