IBM 5576-002キーボードを分解 / キースイッチを修理
PS/55 002型キーボードを分解。さらにALPSキースイッチを分解して接点不良を直した。ついでにScroll Lockのハンダ不良も修復。
手持ちの002型キーボードに反応しないスイッチがあることをふと思い出した。さっそくPS/55に繋いで、診断ディスケットの裏メニューからキーボードテストを実施してみる。
テンキーの9だけ全く反応しない。何回も押したり強めに押し込んでみたりしても反応がない。それなりの額を出して買ったものなのに、見事に不良品を掴まされたわけだ。いやまあ、古いものだから配送中に調子が狂うことも実際あり得るので、こういうものと割り切るしかない。
キーボードを分解
キーボードを柔らかい布の上に置いてひっくり返して、バックカバーの5箇所のネジを外す。左右両側の計4箇所がツメで留めてあるので、外側に押し広げるようにしながらトップカバーを外す。
中を見るとスイッチ基板とコントロール基板の2枚構成になっていることが分かる。
まず上端の2本の圧着コネクタを外す。外し方は人それぞれだが、自分はまず精密ドライバーの最も小さいマイナスで両端・中間を交互にこじ開けて、コネクタの隙間がある程度できたら大きめのマイナスドライバーを入れてひねって広げていった。力の入れ方が悪いとコネクターを壊しそうなので、かなり気を遣う作業だった。
コネクターが外れたら、スイッチ基板おもて側の3箇所のネジを外す。ネジが外れたら、スイッチ基板を奥側へ斜め上に持ち上げるとツメを交わして取り外すことができる。スイッチ基板の裏面にアースが留まっているので、そのネジを外す。このネジはおもて面でナット止めしてあるので、紛失しないように。また、組み立てるときに付け忘れないように。
キースイッチを分解
スイッチのスペアがあれば丸ごと交換した方が良いんだけど、当然そんなものは持ち合わせていない。今からの入手も難しそうだ。
スイッチについて調べてみると、どうやらALPSのキースイッチは分解・復元できるらしいのでやってみる。
まずはキートップを外す。これまで他のキーボードを分解したときはマイナスドライバーでキートップを端から持ち上げて外していたが、ALPSのスイッチはフレームが割れてしまう危険性が高い。今回はMajestouchに付属していたキートップ引き抜き工具を使用した。
キースイッチはスライダーからバネまで完全に分解できる。スイッチの構造は次のページが参考になる。
→ ALPSメカニカルスイッチ IBM 5576-001, 5576-002 - http://ex4.sakura.ne.jp/kb/tech_alps_5576001.htm
スイッチはプレートから外す必要はない。マイナスの精密ドライバーでツメに掛かっている抑えを外側に押し広げながら上へ持ち上げることで、スイッチ上部の黒カバーが外れる。これも力の加減を注意しないといけない。
スライダー機構を外すと板バネが置かれていることが分かる。これが002型の独特なクリック感を出すための要になるのだろう。
テスターで導通チェックするため、スイッチ基板裏面の接点の場所を探す。接点は下図の緑の場所でハンダ付けされている。先の参考ページの端子部分(赤矢印)が基板を貫通してこちらの面に出ているわけ。
パターンの番号とキーとの対応は次の図の通り。図はIBM PS/55 モデル5550-S/T/V技術解説書より。
表側から中央の接点部分を押しながら導通をあたってみるが、全く反応しない。ハンダゴテはなるべく使いたくなかったが、やむを得ず接点を基板から外すことにする。
この状態で接点を押してみると、なぜか導通するようになった。基板へのハンダ付けが悪かったのか、あるいは接点が酸化したりゴミが入ったりして接触が悪くなっていたのか。接点復活スプレーを吹いて元に戻すことにした。基板に植え付けた後もちゃんと導通した。これだけのことで本当に元の調子に戻ったのか、不安になる。
キーボードを組み立てているとトップカバ-がうまくはまらないことに気付く。よく見るとScroll LockのLEDリード線が付け根からぐにゃりと曲がっている。しかも少し押すとリード線がスカスカ。ハンダが割れてしまっているようだ。
LEDをあらかじめトップカバーにはめておく。この状態でスイッチ基板を上からはめ込み、トップカバーを下から持ち上げながら、LEDのリード線をハンダ付けした。LEDは極性があるので向きに注意。
キーボードを組み立てて、再度キーボードテストを実施。すべてのキーが反応することを確認できた。こんなことがあったので耐久性については少し不安があるが、この002型のキータッチは他のどのキーボードにもない独特なものを持っているので、大事にしていこうと思う。