ステレオラジカセ『ZILBA'P TV』(ソニー、1979年発売)を修理
ステレオラジカセ『ZILBA’P TV』(ソニー CFS-V1、1979年発売)を修理
とりあえずFMラジオとカセットテープをステレオで聴ければなんでも良かったんだけど、どうせ中古で買うんなら、と見た目で何となくこれを選んだものの、昨日のゼンマイ時計に劣らない曲者だった。
この機種はステレオラジカセとしては当時の普及価格帯のモデルで、AM、FM、アナログTVチューナーとテープレコーダーが付いている。名称に「TV」と付いているのはテレビの音声多重放送に対応していたことが特徴である為だが、今はアナログテレビ放送が停波したため使えない。私は今までCDコンボとかカセットデッキは使ったことがあるけど、真のラジカセを使うのは初めてかもしれない。
テープの巻き戻し・早送り以外は動作するということで買い取ったのだが、実際のところはいくつか不具合・不調があった。
- 音量つまみのガリ、左右バランスつまみを中間点にしても右にずれる
- テープ再生の音が歪む
- FM放送がチューニングをどう頑張ってもステレオにならない
最初のつまみの問題は可変抵抗器の劣化によるものだろうが、同じ仕様の部品を揃えるか分解手入れする必要があり、すぐに対処するのは難しいので後回し。テープ再生絡みの問題はまずゴムベルトの劣化が思い付く。FMステレオ放送が受信できない問題は、解決方法に心当たりがない。でもこれを直せないことには、買った意味がないも同然。
分解方法
ケースはフロントスピーカー側のシルバーとダークグレーのパーツと、裏側の黒いパーツでパカッと2つに分けることができる。裏からビス留めされているだけなので見た目通りで単純だが、その前にテープレコーダーのカバーと上部のツマミ類を外す必要がある。
テープレコーダーのカバーはユーザーが外すことが想定されている唯一のパーツで、ヘッドやローラーを掃除できるようになっている。
メイン基板からスピーカーやLEDと繋がるコネクターを外す。これ以外のケーブルはほとんどはんだ付けなので、外すとなると厄介だが、付けたままだと作業性が落ちる。
テープレコーダーは3箇所でビス留めされているので、これを外す。配線はメイン基板にはんだ付けで繋がれているので、ぶち切らないように注意。赤、橙、黄の3本線(テープレコーダーの再生スイッチで押される電源スイッチ)はレコーダー側のスイッチ金具が容易に取り外しできるので、外しておく。
ゴムベルト交換
マイナスにセンターポンチを打ったような特殊ねじのプレートを外す。特殊ドライバーセットには専用のビットがあるが、一般的な8本ドライバーセットでも細いマイナスドライバーで外せる。ゴムベルトの規格は幅4mm、長さは半折130~140mm 110mmくらいだろうか。私は大須のボントンで買ったが、普通にAmazonマケプレで色んなサイズが揃って500円程度のものがあるので、そっちを買った方が合理的かも。
巻き戻しはピニオンのかみ合わせが甘くて空回りする状態。早送りは正常。こっちの問題は部品を交換しないと修正するのは難しそう。
ステレオFM検出部の修正
ステレオ出力への切り替えかそこまでの経路に問題がありそうと言うのは予想付いたけど、実際どの部品が問題あるのか全然見当付かなかった。ネットを調べていたら、他機種のZILBA’Pで同様の症状があってRV1という可変抵抗を調整したという記述を見つけた(ページリンク失念)。年代や仕様が近いCFS-71Lのサービスマニュアルを海外サイトで見つけたが、ここにもRV1という可変抵抗の調整方法が記載されている。19kHzのパイロット信号を復元するのに必要なようだ(と言っても私は技術的なことは分かんない)。
ZILBA’P TVの場合、このRV1という可変抵抗はテープレコーダーの真裏右下あたりにある。
FM放送を受信しながらマイナスの精密ドライバーで可変抵抗を回していくと…ステレオ受信できた~!なお、チューニング先はZIP-FM 77.8 MHz
これで普段はFMラジオチューナー、たまにカセットプレイヤーとして使えそうです。