Image: 東芝の磁気遮断器(マグネブラスト遮断器、MBB)

※この記事は興味本位から調べて書いたものであり、恐らく正確性を欠いています。

東芝では戦前から磁気遮断器の研究が進められ、1952年に竣工したブリヂストンビルで7台の磁気遮断器(AKM-5, 3450V, 600A, 50MVA)が使われた。磁気遮断器は当初は「磁気吹消形気中遮断器」とも呼ばれ、東芝の商品名は「マグネブラスト遮断器」だった。

磁気遮断器の説明は既にこちらに書いた通り。

空気遮断器と磁気遮断器の欠点

AKM形・AKT形

Image: Toshiba AKM-5 Image: Size of Toshiba AKM-5

Image: Toshiba Magnetic-blast Breaker AKTC

  • AKM形 - 従来の油遮断器と同様のブッシング上方引き出し形。主回路は銅線または銅帯とのボルト連結。台車付き仕様もあり。
  • AKT形 - メタルクラッド(金属閉鎖形配電盤)用のブッシング水平引き出し形。断路器と連結する。

1953年時点で遮断容量は50MVA, 100MVA, 150MVA, 250MVA、定格電圧は3450Vと6090V、定格電流は600A, 800A, 1200Aの組み合わせが存在した。型式は遮断容量MVAの下1桁を除いた数字を当てはめ、AKM-5やAKT-5とされる。100MVAモデルは定格電圧が3450Vと6900Vの両方がラインナップされ、3450VモデルはAKM-10B, AKT-10B、6900VモデルはAKM-10A6, AKT-10A6となっていた。

メタルクラッド(金属閉鎖形)は今で言うスイッチギヤと同義。

AKS(A)形、AKH(A)形、AKC(A)形

  • AKS形 - AKM形相当の自立型。
  • AKH形 - ブッシング上方引き出し形。昇降式閉鎖配電盤内で断路器と連結する。
  • AKC形 - コンパートメント形配電盤用。主回路は上方引き出しで銅線または銅帯とのボルト連結。

1959年に電気学会規格JEC-145 「交流しや断器」で定格標準値表などが定められたことに伴い、ラインナップが一新された。最大12kV, 2000Aまたは7.2kV, 3000Aまであり、AKT形も新型式で引き続きラインナップされている。型式はシリーズ名の後に、絶縁階級(6または10)、定格電流(英字)、遮断容量(数字2桁)が続くようなった。例えばAKH形, 7.2kV, 1200A, 250MVAならAKH-6M25となる。この命名規則は60年後の現在も継承されている。

コンパートメント(隔壁)というのは、隔壁が設けられた半開放型の配置方法のこと。戦前・戦中は今ほど製造・検査体制が十分でなく、遮断器や断路器が故障しやすかったため、他の機器への損害を少なくしたり、隣接する充電部から隔離して保守性を高めるために、機器や相の間に壁を設ける工夫がされた。建築構造の間仕切りを利用するものも指す。閉鎖形とは違って充電部が常に外部へ露出していることに変わりない。

この頃に電動ばね操作機構も開発され、電動ばね操作機構付きのAKSA形、AKHA形、AKCA形がラインナップされた。遮断器投入にかかる時間と電流が少なく済むようになった。

Bシリーズ (AKHB形、AKCB形、AKSB形)

1966年頃に登場。アークシュートにジルコン・コンパウンドを使用し、耐アーク性能を改善したことで縮小化した新シリーズ。

  • AKSB形 - 自立型。
  • AKHB形 - ブッシング上方引き出し形。
  • AKCB形 - コンパートメント形配電盤用。

Cシリーズ (AKTC形)

Image: Toshiba Magnetic-blast Breaker AKTC Image: 東芝 磁気遮断器 構造図

1966年頃に登場。Bシリーズ同様に縮小化した、ブッシング水平引き出し形の新シリーズ。一部のモデルは閉鎖配電盤に2段積みできる。

同年に定格7.2kV, 600A, 150MVAのVGA/VGB形真空遮断器VGA-6J15が開発され、しばらくは磁気遮断器との並立が続くものの、開発の中心は真空遮断器に移った。


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