ビジュアルノベル『空と海が、ふれあう彼方』(PULLTOP / 2018年)の感想。
ザ・夏休みを味わえる作品です、たぶん。舞台は夏シーズンの創作物で定番の島(小笠原諸島)。私は他作品の名前を並べて出すのは相対的に優良を付けるようであまり好きじゃないんだけど、本作は同じく島が舞台のSummer Pockets(サマポケ)の3か月前に発売されました。
ヒロインに儚げな金髪美少女がいる!と、発売直前くらいに体験版をプレイして、しかしその時は買わず、私が買ったのはその2年後に発売された『あの日の旅人、ふれあう未来』とのセット版です。このセット版はSummer Pockets Reflection Blueの2か月後に発売と、やはり何か縁があります。まあしかし、作品の方向性が違うとはいえ、VNDBで10/10の評価が1000件以上付いているサマポケと並べられると、こっちは影に埋もれてしまった感があります。私が勝手にそう思っただけかもしれませんが。
『あの日の・・・』は未プレイです。
パッケージ
透明感あるトールケースにDVD 2枚とインターネット認証の注意書きビラ、アンケートハガキ、アクティベーションカード入り。
シナリオ
長さはヒロイン一人一人は標準くらいで、本作はヒロイン2人なので、ハーフプライス作品並みです。
事前調査が綿密なのか、小笠原諸島とダイビングへの解像度が高く、良いところが手に取るように分かります。私も行きたくなります。読んでいるとダイビングの知識が少し付きます。ダイビングシーンでは解像度の高いCGを活用した臨場感ある演出が、読者をシーンへ没入させます。しかし、明白な創作要素やコミカルなシーンもあって、固くなりすぎない、いいバランスを保っていると思います。
両ヒロインとも重大な秘密を抱えていて、それに関わる試練を乗り越えていくわけですが、巧妙であっと言わせるような伏線回収とかはないです。後味があまりスッキリしないです。いや、ストーリー自体はグッドエンドで万事解決しているんだけども、解決方法が何か腑に落ちない感。最後に2人を繋ぎ止めたのは、イルカのQ太郎だったってことぉ?まあそう思うのは、私のエゴでしかないのですが。
登場人物の関係性は絶妙に良かったです。ヒロインはルート分岐でどちらかを選ぶ必要がありますが、選ばれなかった方も嫌み無く恋路のサポートをしてくれます。役得な主人公が妬ましくなりますが、まあ、ゲームの描写的には片方のヒロインとの話に没入できるので、結果的にはこれで良いと思います。
グラフィック
CGの解像度は1280×720。枚数はCG28枚、SD絵6枚。CGも背景もクオリティは上々。自然の雄大さと脅威に立ち向かうというテーマに見劣りしない出来上がりです。特にPDFマニュアルの1ページ目CGは躍動感があって良いです。ダイビングシーンの海の透明感と閉塞場所の緊迫感も良いです。
本作のレーティングはEOCS 12歳以上推奨となっていますが、海水浴シーンや日焼け止めを塗るシーンでNSFWなややキワドいCGがあります。CEROレーティングならC(15歳以上)は行くはず。とはいえ、非18禁として線引きはしっかりできています。
システム
システムはクイックセーブ×10個、セーブスロット10個×20ページ、セーブ削除操作、自動スキップ、バックログジャンプ、マウスジェスチャー。水泡がはじけたり花火が上がったりするアニメーション、ボイスの左右パン振りといった少し高度な演出あり。(2025/05/31完了、No.111)