VGA 350ラインモードでのHerculesエミュレーション [Paradise PVGA1A]
6年前、三菱RDT234WX(液晶ディスプレイ)でHerculesの画面モードが映るか確認したいという話をチラッとした(→三菱RDT234WXで映るVESA非標準画面モード(スクエア))。今さら掘り返す価値のある話ではないのだが、少しモヤモヤが残っているので、いま改めて調べ直してみると、ほんと何も知らずに書いていたんだなと思う(今は修正済み)。
まず、リストに書いてある画面解像度からして違う。768x576ってどこから出てきたんだ…また、テストに使う予定だったAST VGA PlusというVGAカードはあくまでHerculesのソフトウェアが使えるという訳であって、Hercules純正アダプターやそのクローンとはディスプレイ出力のピクセルクロックが違うので、それを以てひとくくりにHercules互換と言うのは語弊がある。というか、完全に誤用。
オリジナルのHerculesはCGA互換モードを持たせて共通のマスタークロックを使用するため、ピクセルクロックは16.000MHz。この時点で15kHz対応でないディスプレイには映せないというのは察しが付く。初期のVGA互換チップ PVGA1A ではこれをカバーするため、VGAの350ラインモードと同じ信号フォーマットで、Herculesの画面モードをエミュレーションできる。
ただし、事前にVGAカード付属のドライバユーティリティでHerculesエミュレーションモードに切り替える必要がある。モード切替を行わずにソフトを起動すると下のようなカラフルな画面になる。
例えば、AST VGA PlusでHerculesエミュレーションモードに切り替えるには、VGA MODULE UTILITIESのASTVGA.EXE (AST-VGA Plus EMULATION UTILITY)を実行して、「Set Non-VGA Hercules Full Mode」を選ぶ。
次はMicrosoft Excel 2.1をExcel標準添付のHercules with high resolution monochrome displayドライバで実行してみたところ。
画面モードとしてはVGA 350ライン相当の720×350ピクセルになる。実際はHerculesモードの制約で2ライン分がないので、有効解像度は720×348ピクセル。
液晶ディスプレイでは正方形ピクセルを前提としたドットバイドットの表示になっているため、画面が横に伸びているように見える。実際は4:3で表示されることを前提とした画面になっている。ピクセルアスペクト比で言うと1:1.55。RDT234WXでは画面調整で幅サイズをある程度縮められるが、それでも限界はあるので横伸びは解消できない。
結論は、AST VGA PlusのHerculesエミュレーションを使うと、VGA 350ラインモードが映るディスプレイには表示できるが、液晶ディスプレイでは画面が横に伸びてしまい、縦横比を合わせるのが難しい。あと、オリジナルのHerculesカードの信号フォーマットは、例え信号レベルをTTLからアナログレベルに落としたとしても、out of rangeとなって映せないと考えられる。