Windows 3.1日本語版のビルド番号
最近、いつものOSマニアから英語で色々質問を受けたんだけど、その中でWindows 3.1日本語版のビルドはこれこれと複数あることについてどう考えるかという質問があった。
ビルド番号ってWindows 95やNTからバージョン情報とかシステム情報みたいにおもてに表示されるようになったけど、Windows 3.1のビルド番号って意識したことがなかった。でも、Windows 11でもエクスプローラーで詳細表示から列を追加すれば、16ビットアプリケーションであっても一部はファイルバージョンからバージョンやビルド番号が見られることに気づいた。
しかし、調査するにあたって一つ問題があって、どうもパッケージ版もプリインストール版も更新日時やファイルバージョンは他と一致させるため、本来の数字になっていないようだ。
どういうことかというと、例えば私が持っているパッケージ版Windows 3.1のファイルはすべて更新日時が1995/01/01 3:10、ファイルバージョンが3.10.0.161となっている。これは後で「アップデート2」と「電卓アップデート」適用バージョンであることが判明するが、実際に初期リリース版から内容が変更・修正されたファイルは一部で、他はバージョン番号だけが改められている。中には更新日時(タイムスタンプ)は一致するよう改められているがファイルバージョンが本来のままというセットもある。
更新日時とファイルバージョンとアップデートの関連付けについて何を信用したらいいのか困るわけだが、この問題は日本IBM版Windows 3.1のアップデート(かつてはVectorからダウンロードできたが、現在は公開終了?)に含まれるテキスト (日本語 Microsoft Windows 3.10F 修正情報) やファイルの裏付けによって解決できた。
修正ファイルのタイムスタンプ:
[3.10F] 97-10-24 03:10(IBM)
[3.10E] 97-06-30 03:10(IBM) 95-09-01 03:10(MS)
[3.10D] 95-06-30 03:10(IBM) 95-01-01 03:10(MS)
95-03-17 03:10(IBM)
[3.10C] 94-12-22 03:10(IBM) 94-09-01 03:10(MS)
[3.10B] 94-04-22 03:10(IBM) 94-01-01 03:10(MS)
[3.10A] 93-11-26 03:10 93-11-21 03:10
93-10-31 03:10 93-09-13 03:10
こういった情報を総合した結果、マイクロソフトのWindows 3.1日本語版には以下のバージョンが存在することが分かった。
バージョン | タイムスタンプ | 注釈 |
---|---|---|
3.10.0.153 | 93-05-01 03:10 | 製品版のベースとなるRTMバージョン。 |
3.10.0.160 | 94-01-01 03:10 | 製品版の既存ユーザーには「Windows 3.1 アップデート」として差分提供。 |
3.10.0.161 | 94-09-01 03:10 | 製品版の既存ユーザーには「Windows 3.1 アップデート2」として差分提供。 |
3.10.0.161 | 95-01-01 03:10 | 製品版の既存ユーザーには「Windows 3.1 電卓 アップデート」として差分提供。 |
3.10.0.163 | 95-09-01 03:10 | 製品版の既存ユーザーには「Windows 3.1 アップデート3」として差分提供。 |
タイムスタンプはタイムゾーンの整合性の問題か分からないが、多少前後することがある。例えばPDT(米国太平洋夏時間)がベースだとJST(日本時間)で93-05-01 19:10になっていたり。
この他、Windows 3.1日本語版には公になっているだけで3つのベータ版があって、ハードメーカーや一部のソフトハウスにしか共有されていないクローズドなベータ版はもっとあると考えられる。Windows 3.0も公になっていないだけで細かいバージョン違いがあるみたい(OEM先のメーカーによって採用バージョンが一律でないという話もちょっと興味深い)だし、MS-DOSにもそういうのがあったんだろうな。マイクロソフトはどちらかといえば一般に公にしない方だったけど、富士通は大型機と同様のバージョン/レベル表記、日本IBMはマイナーバージョンの数字を変えて違いを明確にしていた。NECはWindows 3.0、3.0A、3.0Bとバージョンを小分けにしているように見せかけて、実はその中でも出荷時期によって違いがあるって聞くからよく分からない。
私としては、だから今さら何なの、どう役に立つの、という話なんだけど、世の中にはこういう情報を集めている人もいるんだって事。