1980年代のATバス用SVGAビデオカード[DOS/Win2.x]
前回、1990年代のグラフィックチップやWin3.x時代のグラフィックボードについて取り上げたが、それよりももっと前の世代のビデオカードについて調べてみた。とは言っても、さすがに古くて海外サイトでもほとんど情報が出てこないので、せいぜい製品名とスペックに触れるだけだけど。
メーカー別ビデオカード製品
特に断りがない限り、ほとんどはISAバス(16-bit ATバス)対応VGAカード。今ではATIとIBM以外は聞かない名前のメーカーばかりだ。
ATI
画期的と呼べる製品がなく大きな話題がない割には息が長かったメーカー。
VGA Wonder
自社開発のチップセットを搭載したSVGAカード。最大1024x768/16色。チップセットの改良などでバリエーションが多数あるが省略。
VGA Edge
VGA Wonderのコストダウンモデル。オプションVRAMによる拡張ができない。
VGA Basic
SVGAでない純粋なVGAカード。
IBM
MDA、CGA、EGA、VGA、8514/Aの仕様を作ったのはIBM。だが、海外でもIBM純正のビデオカードはあまり見かけない。自分はIBM製のビデオカードなんて今ではブランド価値しかないと考えている。
8514/A
最大1024x768表示が可能なMCAバス用ビデオカード。VGA/EGAとは互換性がないらしい。詳細な仕様が公開されなかったにもかかわらず他社からISAバスに対応したコストパフォーマンスに優れた8514/A互換ビデオカードが登場し、あっという間に色あせた。1987年発売。
Super VGA
IBMから発売された「Super VGA」を冠した800x600対応ビデオカード。XGAとほぼ同時に発売されたが、登場時点で既に1024x768対応SVGAカードがメインストリームの時代であり、IBM純正オプション品を拡充するためだけに存在しているようなもの。
XGA (XGA Display Adapter/A)
1024x768/256色/インターレース表示。8514/Aの後継製品で、VGAと8514/Aとの互換性をもつ。結局XGAの仕様は普及せず、画面解像度の俗称として名を残すだけになった。1991年発売。
XGA-2 (XGA-2 Display Adapter/A)
XGAの直接的な後継製品。1024x768/65535色/ノンインターレース表示。
OAK Technology
自社開発のグラフィックチップ(OTI-xx)を搭載したビデオカードをいくつか発売しているが、詳細不明。(←訂正:OAK Technology自身はビデオカードを量産販売しておらず、チップセットをカードメーカーに供給していた。)
Orchid Technology
1980年代末期よりProDesignerシリーズがLotus 1-2-3、AutoCAD、Windows 2.xを高解像度環境で使うハイエンドPCユーザーを中心に支持を得ていたが、Windows 3.x時代に突入すると競合メーカーに埋もれて姿を潜めていった。
ProDesigner VGA
グラフィックチップはTsengLabs ET3000。256K VRAM。最大800x600/16色。カード長フルサイズ、スリムタイプ。1988年発売、$499。
ProDesigner VGA Plus
ProDesigner VGAにオプションのVRAMを取り付けた製品。512K VRAM。最大1024x768/16色/ノンインターレース。1988年発売、$599。
ProDesigner II
グラフィックチップはTsengLabs ET4000。最大1280x1024インターレース表示。カード長フルサイズ。カード上に1つ空きROMソケットがあるが、ここにはCGA/EGAをサポートするための別売のROMチップを取り付ける。1991年発売?
ProDesigner IIs
ProDesigner IIのカード長をコンパクト(3⁄4)にしたバージョン。RAMDACを交換できる。
Fahrenheit 1280°
1280x1024ノンインターレース表示。Windowsアクセラレータ(S3 86C911)を搭載した最初の製品と言われている。1991年末発売。
STB Systems
ちょっと調査不足。一応Orchid社と張り合うくらいにはビデオカード市場で有名なメーカーだった。
Trident Microsystems
1987年にVGA/EGA/CGA/MDA/Herculesとレジスターレベルで互換性があるワンチップグラフィックチップ TVGA を開発。Windows 3.x時代にはWindowsアクセラレータを搭載したTGUI9440/968xがヒットするが、その後は奮わず。
TVGA 8900 graphics adapter
最大1024x768ノンインターレース表示。8-bit/16-bitバス、VRAM 256K/512K/1Mのラインナップがあり、価格は$245-$569。1990年発売。
Video-7
EGA/VGA時代にはOrchid社が台頭するまでビデオカード市場を牽引する存在だった。
VEGA Deluxe
640x350、640x480、EGA、CGA、Hercures(ハーキュリーズ)自動切替。
EGA Card
640x350、CGA、Hecures自動切替。
V-RAM VGA
1024x768対応。高速、高解像度、ハイエンド。DRAMよりも高速なVRAMを搭載したものとしては最初のVGA互換ビデオカード。1988年発売、$799。日本では大新電機が13万円で販売。
FastWrite
800x600対応。高速、高解像度、ハイエンド。1988年発売、$599。
Paradise Systems, Western Digital Imaging
現在はHDDメーカーで有名なWestern Digitalもかつてグラフィックチップを開発していた。1986年にビデオカード市場の成長を見込んでビデオカードメーカーのParadise Systemsを買収。WD90C30などを開発したが、Windows 3.x時代にビデオカード市場から撤退した。
Paradise VGA Professional
640x400, 640x480, 800x600対応。512KB VRAM。カード長フルサイズ。
Paradise VGA Plus 16
Paradise VGA Professionalの256K VRAM版。640x480で16色表示。カード長フルサイズ。
高解像度対応ビデオカードの使い道
日本で言えばIO-DATA GA-1024A/1280Aのような使い方。つまりはLotus 1-2-3、AutoCADなどのグラフィックボードが対応するMS-DOSソフト、またはWindows 2.x/3.xやOS/2で対応するディスプレイドライバーと組み合わせて使う。
ここで挙げた製品は全てWindows 2000以降には対応していない。というか、Windows 2000ではISAバスのビデオカードは一切対応していない。