ISAバス用グラフィックボード AST-VGA Plus (1988)
1988年にAST Research社から発売されたISAバス用グラフィックボード AST VGA Plusについて。
仕様 (メーカーが公表していた製品情報より)
AST-VGA Plus(PN:202262-001)はIBM PC, PC/XT, PC/ATおよびその100%互換機で動作するVGAビデオアダプター。8ビットまたは16ビット(AT互換)モードの両方に対応。標準で256KB(512KBに拡張可能)のビデオメモリと、PS/2, VGA, マルチシンクモニターにアナログビデオ信号を出力する15ピンコネクターを搭載している。VGA PlusでサポートするビデオモードはMDA, HGC, CGA, EGA, VGAで、すべてアナログモニターでサポートする。
補足しておくと、EGA以前のビデオカードとディスプレイではデジタル信号が用いられており、VGA以降ではアナログ信号が用いられている。上記説明文のアナログ信号・アナログモニターというのはいわゆるVGA信号・VGAモニターのことである。
SVGAとしてサポートする画面モードは以下の通り。
画面モード/VRAM | 256K | 512K |
---|---|---|
640 x 480/16色 | ○ | ○ |
800 x 600/16色 | ○ | ○ |
320 x 200/256色 | ○ | ○ |
640 x 400/256色 | ○ | ○ |
640 x 480/256色 | × | ○ |
1024x768以上には対応していない。チップセットはParadise(後にWestern Digitalに吸収)のPVGA1A。最初はParadise製品のOEMかと思ったが、本カードはリテールで単体販売されていたようなのでASTオリジナルの製品である可能性もある。発売時のリテール価格は599ドル。VRAMアップグレードキットが159ドル。サポートソフトはAutoCAD, GEM, Lotus 1-2-3, Ventura Publisher, Framework II, Symphony, Wordstar。
ディップスイッチの設定
ボードのブラケット側から触れる場所に4連ディップスイッチが1つある。
SW1 ON - 接続されているモニターはアナログモードのマルチシンク
OFF - 接続されているモニターはPS/2またはアナログディスプレイ
SW2 ON - データ転送レートを16ビットに設定(ボードは16ビットスロットに接続すること)
OFF - データ転送レートを8ビットに設定
SW3 ON - バススピードは1ウェイトを追加
OFF - バススピードはノーウェイトで動作
SW4 OFF - 常にオフ
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║ ║ ╔═══
║ +-╟─╢
║ SW1| ║ ║
║ +-║ ║
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╚══════╝ ╚═════════════╝ ║
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ドライバー・ソフトウェア
- vga-modl.zip VGA MODULE UTILITIES Release 3.00 AST P/N 910362-001 through -004
ビデオモードの切り替え
CGA互換モードやHerculesモードに切り替えるにはDOS上でドライバーソフトウェアに付属のユーティリティ(ASTVGA.EXE)を使う。また、診断ツール(DIAG.EXE)からは現在のビデオメモリサイズ、バス幅などの設定の確認のほか、画面モードの表示テストを行うことができる。
付属するソフトウェア対応ドライバー
上記リンク先のドライバーディスクには次のソフトウェアに対応したディスプレイドライバーが付属する。AutoCAD、CADvance、Framework II、GEMK、Lotus 1-2-3 or Symphony、Ventura、Windows(2.x)、WordStar。
下のスクリーンショットはMicrosoft Excel 2.0(Windows 286実行環境)で800x600/16色のディスプレイドライバーを組み込んだところ。のはずだったけど、今見ると640x480ぽい?何分これは半年前に撮った写真で、今は手元に機材がないので確認できない。
Windows 3.x/95/98での使用は描画速度が遅いのでおすすめしない。また、Windows 2000/XPではISAバスのグラフィックボードはサポートされていない。