日本語DOS/Vで英語キーボードを使う
DOS(MS-DOSおよびPC DOS(IBM DOS))で米国仕様の英語キーボード(101キーボード)を使うための設定方法。
英語版DOSでは何も設定しなくてもキーボード入力は米国英語配列として扱われますが、日本語版のDOS(DOS/V)では標準設定で導入した場合、日本語モードでは日本語配列として扱われます。
これを米国英語配列に変更するにはKEYBコマンドを利用します。
○KEYBコマンドについて
KEYB | |
機能 | 特定の言語用(アメリカ英語以外の言語)用にキーボードの設定を行います。 |
書式 | KEYB [xx[,[yyy]] [,[ファイルパス]]] [/e] [/id:nnn] |
xx | キーボードコードを指定。 |
yyy | コードページを指定。 |
ファイルパス | キーボード定義ファイルの場所とファイル名を指定(既定ではKEYBOARD.SYS) |
/e | 8086コンピューターで拡張キーボードを使用する場合は指定する。 |
/id:nnn | 使用するキーボードを指定。同じ言語でもキーボード配列が複数ある国(フランス、イタリア、イギリス)で使用。 |
終了コード | 0=キーボード定義ファイルのロードが成功。1=有効でないキーボードコード、コードページ、構文が使用された。 2=キーボード定義ファイルに欠陥がある。4=CONデバイスの通信中にエラーが起きた。 5=リクエストされたコードページが用意されていない。 |
補足 | 何もパラメータやスイッチを指定しないと、現在のキーボードコードとコードページを表示。 |
○xx、yyy、およびnnnに代入する値の一覧
国 | キーボードコード | コードページ | キーボード識別 |
ベルギー | be | 850,437 | . |
ブラジル | br | 850,437 | . |
カナダフランス語 | cf | 850,863 | . |
デンマーク | dk | 850,865 | . |
フィンランド | su | 850,437 | . |
フランス | fr | 850,437 | 120,189 |
ドイツ | gr | 850,437 | . |
イタリア | it | 850,437 | 141,142 |
ラテンアメリカ | la | 850,437 | . |
オランダ | nl | 850,437 | . |
ノルウェー | no | 850,865 | . |
ポーランド | pl | 852,850 | . |
ポルトガル | po | 850,860 | . |
スペイン | sp | 850,437 | . |
スウェーデン | sv | 850,437 | . |
スイスフランス語 | sf | 850,437 | . |
スイスドイツ語 | sg | 850,437 | . |
イギリス | uk | 850,437 | 166,168 |
アメリカ合衆国 | us | 850,437 | . |
日本 | jp | 932,437 | . |
以上より、US配列のキーボードを使うにはコマンドラインで「KEYB US,437,C:\DOS\KEYBOARD.SYS」を実行します。
○CONFIG.SYSまたはAUTOEXEC.BATへの設定
システム始動毎にコマンドを入力・実行するのが面倒であればCONFIG.SYSまたはAUTOEXEC.BATに次の一行を追加します。
[英語キーボードを英語モードまたは日本語モードで使う場合]
CONFIG.SYSの場合→ INSTALL=C:\DOS\KEYB.COM US,437,C:\DOS\KEYBOARD.SYS
AUTOEXEC.BATの場合→ KEYB US,437,C:\DOS\KEYBOARD.SYS
[日本語キーボードを英語モードで使う場合(日本語版DOSにおける英語モードの標準設定)]
CONFIG.SYSの場合→ INSTALL=C:\DOS\KEYB.COM JP,437,C:\DOS\KEYBOARD.SYS
AUTOEXEC.BATの場合→ KEYB JP,437,C:\DOS\KEYBOARD.SYS
[日本語キーボードを日本語モードで使う場合(日本語モードの標準設定)]
CONFIG.SYSの場合→ INSTALL=C:\DOS\KEYB.COM JP,932,C:\DOS\KEYBOARD.SYS
AUTOEXEC.BATの場合→ KEYB JP,932,C:\DOS\KEYBOARD.SYS
CONFIG.SYSとAUTOEXEC.BATの両方に設定する必要はありません。日本語キーボードのレイアウト情報は他言語版のDOSのKEYBOARD.SYSには含まれていません。
○KEYBコマンドの設定の切り替え
[Ctrl]+[Alt]+[F1]キーでKEYBコマンドの設定から既定の設定に変更、また[Ctrl]+[Alt]+[F2]キーでKEYBコマンドで設定したキーボード設定に変更できます。
つまり上のようにわざわざKEYBコマンドを実行しなくても、[Ctrl]+[Alt]+[F1]キーでUS配列に切り替え、[Ctrl]+[Alt]+[F2]キーで元の配列(以前に実行したKEYBコマンドの設定)に簡単に切り替えることができます。
○SETUPVコマンドで設定 [PC DOS バージョンJ6.1/V以降]
PC DOS J6.1/V以降ならSETUPVコマンドを使う方法もあります。
ここではキーボードの種類は次の4つから選択できます。
SETUPV設定値 | DOSV.INI設定値 | キーボード型 |
日本語 | JP | 日本語106キーボード(5576-001/002/003/A01/B01/C01) |
米国英語 | US | 米国英語101キーボード |
AX | AX | AXキーボード |
J3100 | J3 | 東芝J-3100ノートブック型キーボード |
SETUPVコマンドで設定を変更するとAUTOEXEC.BATのKEYBコマンドとDOSV.INIのKeyboardセクションが書き換えられます。KEYBコマンドの変更はDOS全般のキー割り当て、DOSV.INIの変更はかな漢字変換($IAS.SYS)のキー割り当てに影響します。
○US配列・英語キーボードでかな漢字変換を行う
WXII(MS-IME)やPC DOS付属の連文節変換プログラムの場合は、[Alt]+[`](グレイヴアクセント)キーで日本語入力のオン・オフ、[スペース]キーで変換を行います。IBM DOS バージョンJ5.00/V以前の場合は$IAS.SYSがUS配列に対応していないのでSIMKEYなどを利用します。詳細なキー割り当てについてはそれぞれのかな漢字変換プログラムのマニュアルを参照してください。
ちなみに英語キーボードでの[Alt]+[`](グレイヴアクセント)キーは位置的には日本語キーボードでの[Alt(前面)]+[半角/全角]キーと同じです。
(引用元:『IBM DOS バージョンJ5.0/V 入門書(カンタンDOS)追加情報および導入ガイド(英文)』、日本アイ・ビー・エム株式会社、1992年)
○関連ページ
- DOS/V上のIBMMKKとWin3.1上における日本語入力について
https://diarywind.com/blog/e/g13_257_dosvibmmkkwin31.html
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