NEC製ICの品番命名規則と日付コード
古い電卓の中身を解析したときに調査したついで。内容の真偽は保証しません。
品番の命名規則
NEC製ICの製品名はμPD70108のように “μP” から始まる英数字で構成され、パッケージや細かい仕様の違いによりμPD70108C-10やμPD70108L-8などのように末尾が変わる。後期のロットでは”μP”は省略してICに刻印されることが多い。
品番冒頭のμPはマイクロパック (Micro Pack) の略称に由来する。1962年にNECが開発したシリコンウェハー半導体集積回路の商品名がMicro Packで、電子交換機の試作機に使用された。商品化第1号は1964年発表の高周波広帯域増幅器μPC1A, μPC1Bほか2品種。日本ではμPA, μPB, μPC, μPD(ミュー ピー …)として商標登録され、現在はルネサスエレクトロニクスが商標権を持っている。
μPxyyyyyyz
- x : 回路の種類
- A : 複合素子
- B : バイポーラ型、デジタル回路
- C : バイポーラ型、アナログ回路
- D : ユニポーラ型、デジタル回路 (MOS)
- yyyyyy : 1~6桁の型番。製品固有の番号。末尾に”A”などのサフィックスが付く場合あり。
- z : パッケージの種類
- A : メタル缶 (TO-5) パッケージ
- B : セラミック フラット パッケージ
- C : プラスチックDIP (Dual in-line package)
- D : セラミックDIP
- E : ピギーバックDIP
- G : プラスチック フラット パッケージ
- H : SIP (Single in-line package)
- J : TO-92 パッケージ
- K : セラミックLCC (Leaded chip carrier)
- L : PLCC (Plastic leaded chip carrier)
- R : セラミックPGA (Pin grid array)
- S : プラスチックPGA
- V : V-DIP (Vertical dual in-line package)
パッケージの種類って挙げてみると色々あるもんですね。ピギーバックDIPとセラミックLCCは実物を見たことがありません。
例えば、先の写真にあるD4364C-15は、正式な品番はμPD4364C-15となり、次を意味する。
- D : ユニポーラ型デジタル回路 (CMOS)
- 4364 : 製品番号(8192ワード×8ビット スタティックCMOS RAM)
- C : プラスチックDIP
- -15 : 製品固有の仕様指定 (アクセスタイム150ナノ秒)
日付コード (Date code)
IC表面に刻印されているDate codeの規則は1982年あたりを境に変わっている。これはNECのみに通用する話であって、他のメーカー、例えば日立とかシャープ、には違う規則がある。
旧規則(1982年頃以前)
▯yM▯▯▯
- y : 製造年コード(西暦の下1桁)
- M : 製造月コード(製造月そのまま。ただし、X=10月、Y=11月、Z=12月。)
例えば、先の写真にあるμPD780C-1のDate code “P1X155” は1981年10月に製造されたことを意味する。
新規則(1982年頃以降)
yyww▯▯
- yy : 製造年コード(西暦の下2桁)
- ww : 製造週コード(その年の第1週を01として、52または53まで。)
例えば、先の写真にあるμPD7261ADのDate code “8630X9” は1986年第30週に製造されたことを意味する。
参考サイト
Date codeの規則を記した資料は未確認。
- 「ニュース」『情報処理』, Vol.3, No,6 pp.357-359. http://id.nii.ac.jp/1001/00081586/
- NEC半導体開発の黎明期に関わった人々 - 日本半導体歴史館 開発ものがたり