Image: 210914 VN『まいてつ Last Run!!』(2020年) 感想

ビジュアルノベル『まいてつ Last Run!!』(Lose / 2020年)の感想。18歳未満の方の閲覧はご遠慮下さい。

本編未プレイのため、本編の感想が主です。

パッケージ

DVDトールケースに、ゲームディスク1枚、ボーカルコレクションCD2枚、ドライブレスPC用のダウンロードシリアルカード、DLsiteのダウンロード手順書ペラ1枚。予約特典として、別のトールケースにVTuberカバーアルバムのCD2枚。げっちゅ屋特典としてボーカルカバーミニアルバムCD(永井真衣&Vtuber早瀬やよいボーカルVer.)。早期予約特典として複製色紙6枚「新春ハチロク」「日々姫の桜満開」「ポーレット」「オリヴィ」「みくろ」「マスターアップハチロク」、げっちゅ屋予約特典として複製色紙1枚「ふかみのえっちな色紙」。さらにげっちゅ屋の購入キャンペーン色紙(2020年1月、6月、7月、10月)を合わせると、さすがに多い。

シナリオ

主人公は次々と困難にぶち当たるが、それを一つずつ乗り越えながら仲間や地域との繋がりを深めていく。鉄道の知識なんてほとんどない私でも蒸気機関について学びながら楽しく読めた。

メインの3人の中では日々姫ルートが一番好き。現実的問題に何度も直面しながらも、解決に向けたストーリーは夢があって良い。

世界観の設定は元ネタがあるんだろうけど、すごく作り込まれている。日々姫シナリオが分かりやすい。地域がまるでそこに存在するかのような描写、町の人々の繋がりとそこから感じられるぬくもり。主人公の独特なしゃべりとテンポも、だんだん作品に馴染んでくる。鉄道に関する専門用語が次々に出てくるが、難しい話は文中に説明があるし、メニューで解説を見返すことも可能。台詞だけでなく解説もフルボイス。

こんな壮大なプロットと密接したシナリオを、しかも同じ文体で書くのは、分業体制では難しいだろうと思ったが、スタッフロールを見たら実際シナリオ1名、グラフィック1名だったから納得。2人3脚でこんな大作を作り上げたというのだからすごい。エロゲーは零細企業が多く開発期間が長いと資金繰りに困るので、普通はシナリオもグラフィックも複数のスタッフで分業して掛かるが、この作品は少数精鋭だからこそ成り立っている。ラノベ何冊分もあろうかというシナリオを一人で書くのは、開発期間も相当な長さになろう。それをこういう形で結実させたことを賞賛したい。

Hシーンは本編とは別に用意されている。本編は全年齢のコンシューマ版がベースらしく、元々あったHシーンとその前後の会話は多少変更されている。告白シーン後のシーン切り替えに何度か感じた微妙な違和感はそういうことか。Hシーンがなくても作品としては成り立っているのだが、気付いてしまうとこのハブられている感じはなんだろう。

グラフィック

画面解像度はHD (1280x720)。E-moteで立ち絵だけでなく多くの一枚絵がアニメーションする。このようなアニメーションをするには線画をベジエ曲線でトレースしてパーツ単位に分ける必要があり、そうして出来上がった素材を膨大なテキストや台詞に合わせて動かすことを考えると、その労力はただの口パクや瞬きのアニメーションとは比較にならない。開発期間もさることながら背景とCG枚数も凄まじい数で、普通の商業作品であれば採算が成り立たないだろうに。商業作品の枠を超えた執念を感じる。

表情やモーションの切り替えはシームレスではないが、キャラクターやCGの量を考えたら重箱の隅をつつくようなものだろう。

シナリオは日々姫ルートが好きだが、ヒロインは凪ふかみペアのふかみが好き。H1_bのCGとげっちゅ屋特典の色紙絵が特に良きかな。何が良いかなんて深く言及するまでもないだろう。

2021年4月以降、現在までに4つの追加Hシーン(主にサブヒロインの補完)が無料で配信されている。ブランドとしてはこれ以上新タイトルを制作しないと宣言しているので、これらは構想にはあったけど制作期間の前倒しに間に合わなかったか、あるいは、萌えゲーアワード大賞受賞などのユーザー意見に対する清算の意図があるのかもしれないが、どちらにしても無料の追加コンテンツにここまでの力の入れようは珍しい。

システム

エンジンは吉里吉里Zベースだが、システムは他に類を見ない相当な改造が施されている。

このゲームには一般的なノベルゲームでのセーブスロットというものがなく、「ブックマーク」がセーブに相当する。ブックマークに決まった番号はなく、新旧順またはストーリー順に並べ替えることができ、また各ヒロインのルートで絞り込むことができる。

ストーリーはルート別に章ごとに区切られていて、場面選択で途中からプレイ可能。また、各場面の中でもテキストウィンドウ下のシークバーをドラッグして前後のテキストへシームレスにジャンプできる。選択肢のストーリー分岐はほとんどないため、フローチャートは実装されていない。

CG鑑賞ではシークバーでE-moteのアニメーションを自由に設定できる。どのCGを取っても10数個のシークバーが表示され、これを触っているとと作り込みのすごさが分かる。(2021/09/13完了、No.93)


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