後期型ファミコンの外部音源音量バランス問題を直す
ファミコン用ソフトの『悪魔城伝説』を手に入れたので起動してみたんだけど、なんか一部の音だけが聞こえない。いや。一応鳴っているんだけど、音量がかなり小さい。
初期のファミコンはABボタンが四角だったとか、後期のファミコンにはロゴラベルにFFマークが描かれた個体があるという話は知っていたけど、ソフトウェア互換性の問題は詳しく知らなかった。
どうも、後期型ファミコンやニューファミコン(公式でAV出力仕様のファミコン)は、外部音源(ファミコンディスクシステムや一部のゲームカートリッジに搭載された拡張音源)との音量バランスが前期型から変更されているらしい。故障とか個体差ではなく、設計から異なるようだ。
後期型ファミコンというのは、私もちゃんと比較したわけではないけど、基板の型番に “GPM” がつく個体を指すようだ。これを見分ける簡単な方法は、カートリッジを挿入する青いコネクター。これがシルバーの金属で覆われているのは後期型である。後期型は、おそらくEMC/EMI(電磁波障害)対策のため、RF出力基板にしっかりしたシールドが付いている(分解しないとこれは見れない)。基板の型番はHVC-CPU-GPM-01とHVC-CPU-GPM-02が該当する。HVC-CPU-GPM-01は基板上の著作権表示で1988年となっているので、全1935万台中、1988年以降に出荷された約800万台(半数弱)が該当することになる。AV出力改造が施されているファミコンは後期型が多い。
これらではCPU内蔵音源の音量が小さくなっているため、ゲームソフトによっては、外部音源とミックスされたときに一部の音が小さくて聞こえにくいという問題が発生する。
ニューファミコンのことは分からないが、後期型の赤白ファミコンでこの問題を解決する方法は比較的簡単そうだ。基板上のR7に43kΩの抵抗器(カラーコードは黄-橙-橙-金)が入っているので、これを前期型と同じ100kΩ(カラーコードは茶-黒-黄-金)に置き換えるだけ。
メイン基板の回路図(非公式のもの)を見てみると、TC40H368Pが内蔵音源出力のアンプICになっていて、R7/(R4,R5)で増幅度がセットされていると分かる。内蔵音源はパルス波とそれ以外で出力ピンが分かれており、R4とR5の2経路で異なる値の抵抗器を経てミックスされる。ファミコン後期型ではR7の値が100kから43kに変更されている。ここから、後期型では内蔵音源の音量が意図的に下げられたことは明らかだが、理由はよく分かっていない。CPUやPPUのリビジョンの違いなど、他の互換性問題も調べてみると興味深い。
抵抗器はAmazon他で50本入り送料込み500円以内で買えるので、あとは電子工作の道具さえあれば、改造の中でも敷居は低い。一つ注意点を挙げるなら、本体を分解するのに任天堂ハード特有のメス星形ドライバーが必要になる場合があることか。
この改造で悪魔城ドラキュラの音量バランスは良い具合に仕上がった。最近は改造キットも色々出回っていて、拡張音源の音量を可変調節できるようにするキットもあるようだ。
(2024/10/25更新:10/24にサーバーが不調だったため未完成の版がアップロードされていました。)