久々にヤフオクを見ていたら興味深いものを見つけた。
→ Yahoo!オークション - g35 「IBM DOS バージョン J5.0 2D/V」変換プロ…
製品名らしきタイトルは『IBM DOS バージョン J5.0 2D/V』。確かにIBM DOS J5.0/VのマイナーバージョンはJ5.02D/Vまで存在するが、私の知る限り、製品名はあくまで『IBM DOS バージョン J5.0/V』であり、マイナーバージョンの更新でタイトル表記が差し替えられた例は今まで見たことがない。左上にOADG(PCオープン・アーキテクチャー推進協議会)のロゴはあるが、IBMのロゴが見当たらない。

裏面のIBMのクレジットが入るべき場所には「CSC」というロゴがあり、その下に “COMPUTER SCIENCE CHINA CORP.” と書かれている。住所らしき表記に “TAIPEI” とあるので台湾の企業か。バージョンJ5.02D/Vのリリースは1993年5月だが、1994年1月18日時点でOADGに加盟している25の会員会社(※1)にそのような名前は含まれていない。
この品には妙な部分が多い。まず、IBMの正規品と見比べると、タイトルのフォントが違う。「バージョン」の字体がなんだか細くて頼りない。「J5.0」と「2D/V」の間には微妙に空白がある。左下に書かれている文言は「J5.0 2D/V」となっている部分以外は正規品と同じ(この文言は正規品には少なくとも2パターンある)だが、DOSのロゴはどちらかと言えば 英語版 PC DOS 6.1 のものに近い。
下は正規のもの。ちなみに、初期版(バージョンJ5.00/V)はこれとはまた異なるデザインが使用されている。

ライセンス情報のプログラム番号は「5605-PHN、5605-PPN」とあるが、見たことない番号だ。なぜかこちらのタイトルは「J5.0/V」になっている。メディアが収容されている紙箱は正規品と同じようだ。

ディスクのラベルがぱっと見では正規品と似ているが、側面までカバーされていない違いがある。

下はIBMの正規品。IBM製ソフトウェアの3.5インチフロッピーディスクは製造時期によって、シャッターにIBMロゴ入りのもの、ロゴ無しのもの、ディスクケースが灰色から黒色に変更されたものが存在する。

色々怪しい点がある外箱に比べると、中身は正規品とほとんど変わりないところが逆に胡散臭くなってくる。偽物疑惑の方は頑なにIBMのロゴを入れないのは何の抵抗なんだろうか。著作権表示がそのまま残してある時点で同じようなものだと思うのだが。
※1:インテル・ジャパン、ASTリサーチ・ジャパン、沖電気工業、オムロン、キヤノン、三洋電機、シャープ、ソニー、東芝、大同日本、デル・コンピュータ、日本IBM、日本エイサー、日本オリベッティ、日本DEC、ユニシス、日立製作所、富士通、ブラザー工業、マイタックジャパン、松下電器産業、三菱電機、ユニシス・ジャパン・リミテッド、リコー、ワコム