ファミコンのゲームをプレイしていて画質の悪さと遅延が少し気になるので、それを解決するアイテムはないかと探していたら、こんなものを見つけた。
→ RetroScaler2x AV to HDMI Converter/Line Doubler/Upscaler – Retrolize
コンポジット映像 (RCA) 端子やコンポーネント端子で入力して、HDMIで出力する変換器。輸入品なのでその時の為替レートにもよるが、新品で8,000円、中古で5,000~7,000円程度で買える。特に、ゲーム用途を意識してゼロ遅延であることを売りにしている。
私はこれまで1000円台で買えるRCA to VGA変換器を使っていた。この変換器の中枢にあたるチップは Macro Silicon 製 MS1850 で、これを使用した中華系の類似品が複数出回っている。
RCA入力をキャプチャーボード (XCapture-1) 経由でOBS上にプレビューすることに比べれば、遅延は少なかったが、VGA出力の画面にゴーストのようなゴミが現れることがあって困った。下のスクリーンショットでは、マリオの上や右あたりにゴミが現れている。
遅延(レイテンシー)
XCapture-1のRCA入力をOBSでプレビュー表示、RCA-VGA変換器を通したモニター表示、RetroScaler2xのHDMI出力をXCapture-1に入力してOBSでプレビュー表示したとき、RetroScaler2xの出力をモニターに直接繋いだとき、の4パターンで遅延フレーム数を比較してみた。RetroScaler2xをモニターに直接繋いだときを基準(ゼロ)とし、60フレーム毎秒 (fps) でキャプチャー側とスルー側の2つのモニターを撮影して比較している。
ゲームをプレイした時の体感的には、XCapture-1のRCA入力は遅延を明確に感じ、ゲームプレイにも致命的支障をきたす。スーパーマリオブラザーズをプレイすると、ラグが大きくて操作の調整が難しく、ミスしやすい。RCA-VGA変換器を通した時は遅延を若干感じるが、ゲームプレイにはそこまで支障をきたさない。RetroScaler2xをモニターに直接繋いだ場合、遅延を感じず、ヌルヌル動くようなフィードバックを体感できる。とても快適!
インターレース解除
RetroScaler2xの出力は標準でインターレース解除が効いている。画質はエッジが効いていてメリハリがはっきりしている。スーパーマリオブラザーズでマリオが小さくなる時は、1フレームおきの完全な点滅で表示される。これはSwitch版と同じ。そのため、この映像をキャプチャーするときは設定に注意が必要。
画質
日本のアナログテレビジョン規格は北米のNTSCに基づいているが、1983年の電波法改正以降は仕様が微妙に違い、これはNTSC-Jと呼ばれることを以前説明した。
→ AV化ファミコン映像で見るキャプチャ設定のNTSC_MとNTSC_M_Jとの違い
RetroScaler2xはNTSCとPALに対応しているが、NTSC-Jとの微妙な違いまで考慮していないようだ。
AV改造ファミコンのRCA出力をXCapture-1, NTSCで録画:
RetroScaler2xのHDMI出力をXCapture-1で録画:
AV改造ファミコンのRCA出力をXCapture-1, NTSC-Jで録画:
RetroScaler2xの出力を使うときは、NTSC-Jの色合いに近づくようモニターやキャプチャー側で画質を調整した方が良さそうだ。
色合い以外での画質は、RCA-VGA変換器のようなゴミは表示されないが、まれに、画面上に1本の横線が一瞬だけ現れることがある。もっとも、XCapture-1のRCA入力でもこれに似たノイズが入ることはあるので、キャプチャ機器の問題というより入力信号の問題かもしれない。