電撃文庫 虹色エイリアン 感想
ライトノベル 虹色エイリアン (電撃文庫)を読んでの感想。記事トップ画像は電撃の缶詰(2014.11)より。
ネタバレを含むのでご注意下さい。
(凡例)
満足度: ☆満足しなかった、☆☆まあまあ満足した、☆☆☆大満足だった
次巻への期待度: ☆あまり期待しない、☆☆少し期待する、☆☆☆かなり期待する
虹色エイリアン (電撃文庫)
この本の購入のきっかけはひょんなことから。帯の表の「窓から、外から、腹の中から」と、あらすじの「異星人(あなた)も地球人(わたし)も宇宙人(変なやつ)。こんなのがいれば。夜空も明るいわけだ。」という部分が目にとまった。今月の新刊の中で特に異彩を放つそれが気になった。
地球の言葉を知らない少女の姿をした宇宙人。人や動物の身体に寄生する冷徹な宇宙人。姿はアレだけども生真面目な真人間のような宇宙人。いずれも人間らしい部分はあるが地球の人間ではない。そんな彼らに突然出会い、生活を共にすることになったとき、人はどう対応するのか。コミュニケーションを図ろうと言葉を教える人。勝手に身体に住まわれて鬱陶しく感じる人。異星人との交流を楽しむ人。その様子が妙にリアリティがあって微笑ましくなる。
中でも印象に残ったのは、地球を滅ぼそうとする宇宙人が地球人に「お前は生きて何になる」と質問したことに対して、一人は「お前と出会ったことがそもそも地球人として偉業だ」「そういうものか」「そうだ」と答え、もう一人は「雲より速く夏の空の下を走りたい」と答えたこと。この部分だけ抜粋しても何のことやらだが、前後を読んだとしてもこれが質問への解答になっているのかすら怪しい。けれども納得してしまうような、妙な説得力、というよりは親近感があった。
情景描写がとても生々しく具体的で、場面の様子をまるで肌で感じているかのような、文学の世界に引き込まれたような気分になる。本を読んでいてそんな気分になったのは久しぶりな気がする。
この一冊で話が綺麗に終わっているので続編が出ることは期待していないが、スピンオフが出てくれればと期待してみる。 (満足度:☆☆☆、期待度:☆☆)(2014/11/15)
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