Image: 210824 ゼロの使い魔 (21)(22) 感想 / 15年前の回想

ライトノベル『ゼロの使い魔』21巻、22巻(最終巻)の感想。ネタバレあり。

ゼロの使い魔 (21) 感想

前巻(2011年発売)から5年、原作者ヤマグチノボル氏の逝去から3年の歳月を経て2016年に発売された待望の続編。

18巻あたりまでビダーシャル以外のエルフは登場せず、エルフの住む地域について何も分かっていなかったので、戦闘狂や屈強な獣人みたいなのが村規模で点々と住んでいるところを想像していたのだが、蓋を開けてみれば種族が違うというだけで、感情や思考は一枚岩じゃないところを含め人間と同じなんだな。

エルフに誘拐された才人・ティファニアの奪還のため、ルイズと学院の仲間たちが聖地のエルフ相手に無理して真っ向勝負を挑んでいるというのに、才人たちはエルフの別の一派の助けを得て聖地から脱出しようというすれ違い。ティファニアも才人になびいてしまっているし。物語が終盤に入るというのに、主人公とメインヒロインの進む方向が一致しないって先行きが見えない。どこかで合流するタイミングがあるんだろうか。そう思っていたら、ロマリアの下で動いていたかつての仇敵ワルド、土塊のフーケ、交易の町で偶然出会ったトリステインの武器商人などの協力を得て思わぬ合流を果たすことになった。役が勢ぞろいでいよいよ終盤という感じ。

21巻、22巻(最終巻)はヤマグチノボル氏が生前に練っていたプロットをもとに別人が執筆しているのだが、前巻までと文体といい構成といい、違和感はなかった。本巻の後書きではまだ執筆者は明かされていないが、今は既に周知と思う。私もその人のシリーズを読んだことあるが、同一人物とは思えない。でも、そのシリーズがゼロの使い魔の影響を受けている感じはしていたから、名前を知って納得はしても驚きはしなかった。魔法と冒険のファンタジーを書くならこの人がまさに適任だろう。(満足度: 33, 期待度: 23)(2021/08/23)

ゼロの使い魔 (22) 感想

冒険、バトル、運命、恋、戦争、種族闘争、魔法、武器と、シリーズの全ての見どころ要素をここに再結集させた、そんな意図を読み取れた。絵がなくても場面や人物の動きなどを頭に思い浮かべながら読むのが楽しかった。これこそラノベの醍醐味。

元々、虚無の魔法や兵器の召喚は地球人(狭義にはマギ族を迫害していた民族)への対抗手段として作り出されたのだろうか。作中ではその作り手に関して「神の思し召し」「神から与えられた」としか書かれていない。しかし、ハルケギニアの先住民であるエルフと領地の奪い合いになり、元の目的など様々な真実が長い歴史の間に忘れ去られてしまった。ヴィットーリオだけはそこに気付いて「聖地奪還」の名の下に領地拡大を目論んだ。もしガンダールヴが地球人である才人じゃなかったら、聖戦は完遂していたかもしれない。ただ、その時はハルケギニアの6000年前と同じ悪夢に始まる領地闘争が地球でも繰り返されるだろう。

まあ謎を色々残しながらシリーズは終了したけども、最後の最後は納得できる終わり方だった。才人とルイズが離ればなれになるなんて想像できなかったし、かと言って才人が地球への帰還を諦めることはないとも思ったし。わちゃわちゃしたエンディングはアニメ版ゼロの使い魔っぽい終わり方だったな。ラノベでも定番っちゃ定番か。

もっと4人のヒロインにスポットライトが当たっても良かったと思った。特に、窮地に陥った才人を常に支えていたティファニアと、才人たちを支えたくても女王の立場に常に悩んでいたアンリエッタ。この2人は敢闘賞が与えられるべきだろう。あとはコルベール先生の活躍も考えてみると何気にすごい。魔法学院の教師っていうには強者過ぎる。まあ、挙げだしたらキリが無いか。冒頭イラストで全員が2人を祝福している様子を見たら、このエンディングでも良かったと思えるし。(満足度: 33)(2021/08/24)


15年前の回想

ゼロの使い魔を読み始めたのは15年前のことだが、昔のこと過ぎてどうやって知ったのかあまり覚えていない。

Amazonで買ったことは覚えている。購入履歴はちゃんと残っていた。注文日は2006年7月18日で、ブレイブストーリーと一緒にゼロの使い魔を第1巻だけ購入している。アニメ1期が2006年7月スタートなので、アニメから知ったんだろう。最初は面白さが良く分からなかったが、1巻の最後まで読んで「これは続きが少し気になるかも」と思った。

8月1日に2巻から4巻を買っている。確か当時のAmazonは1500円以上注文しないと配送料が掛かったので、それで3冊買ったんだと思う。内容は忘れたが、2巻の終わりでワルドとの対決があったんだっけ。あの辺りからハマり始めた。4巻まで読んだところで、これは最後まで読もうと思った。

とても印象に残っていることがある。6巻だったか、コルベール先生が才人に宛てた手紙を読んだ辺りでボロボロに泣いた。ブレイブストーリーでもそこまでじゃなかったのに、まさかラノベに泣かされるとは思っていなかった。そして、当時最新刊の8巻まで一気に読んで、それ以降は熱が冷めてしまい、読むのを止めたことは以前書いた通り。

8月末に神様家族を8冊全巻、9月に涼宮ハルヒの憂鬱を購入している。ラノベに熱が入ったのはこの頃なんだろうなと思う。

ラノベ自体はイリヤとか半月などは既に読んでいた。ただ、このきっかけがなかったらラノベに広く興味を持つことなく、涼宮ハルヒや禁書目録などを読むことはなかっただろう。そして、この5年前に私が初めて「出会った」ギャルゲーがグリーングリーンで、そのシナリオライターがヤマグチノボル先生だったのは、何か運命を感じずにはいられない。素晴らしい作品をありがとう。


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