IBM 5576-B01キーボードのキーボードIDは83ABh、サポートするスキャンコードセットは1, 2, 3で、これは2026年時点で市販されている一般的なキーボードと同じという、平凡な結果に終わった。本当は、スキャンコードセット8Ahについて色々調べたかったのだが、これではなんともつまらない。
※もしこれを読んだあなたが他の5576キーボードを所有していても、私に送る必要はありません。大事にしてください。
あんな見得を切っていながらこれで終わるのは忍びないので、調べて判明したことを書いておく。
仕様
- 型番: 5576-B01
- 品名: 鍵盤 (JAPANESE KEYBOARD)
- EC No.: D22641 他
- 製造元: ミツミ電機(マレーシア製)
- 発表時期: 1993年?(1992年10月のPS/V第1世代はA01キーボード、1993年5月の第2世代はB01キーボード付属との情報あり。)
- キーの数: 106
- スキャンコードセット: 1, 2, 3
- 5576-001エミュレーション機能: 無し
- 接点の種類: 独立ラバードーム + メンブレンスイッチ(2接点短絡タイプ)
- 主な制御チップ: Texas Instruments製ミツミ向けカスタムチップ
- インターフェース: ミニDIN6 (PS/2互換) ケーブル標準付属
- サイズ (WxDxH): 454 x 155 x 34 (mm)(公称値)
- 重量: 1.16 kg(ケーブルを含む、実測値)
- 価格: 17000円(1993年時点)
ウェブで確認できるIBM公式の情報はWeb Archivesより。このページには「キーボード・ケーブルはシステム装置に標準で付属します(キーボード一体型を除く)」と書かれている。これは一体どういうことか!B01以外の5576キーボードは脱着可能なケーブルを接続するが、これは基本的にPS/55本体の付属品を使用することになっていたらしい。ただ、互換機やラップトップ外付け需要のためのケーブル単品も存在し、これは07G3033または79F5442という製品番号で出回っていた。中古市場ではケーブルが付いた状態で売られることが多いから知らなかった。
内部
B01キーボード内部は薄めの鉄板1枚、パターン両面印刷のフィルムシートが1枚、ラバードームとキートップ、プラスチック製のごついベースが一体になったプレートが1枚の3層構造(+コントローラー基板)になっている。

コントローラー基板。一番大きなチップにはTexas Instrumentsのロゴ、MTM(ミツミ向けカスタム品?)の文字、IBM特有の部品番号 (66G0670) が印刷されている。

一般的なメンブレンキーボードはパターンを対面に配置した2層のシートにスペーサーとして1枚のシートを挟んだ構造が多いが、B01キーボードはシート1枚の片面にある2接点をラバードーム側の導電性ゴムで短絡する構造になっている。この構造なら誤短絡や押し込みには強いかもしれないが、単純に接点数が増える分、接触不十分による不良率は増えそうに見える。

スキャンコード、タイパマティック、メーク、ブレーク
これらについては自作ツール https://github.com/akmed772/ATKeyCap で調べた。タイパマティックというのは、キーを押し続けたときにキーボードがスキャンコードを一定間隔で連続送信する動作のこと。

スキャンコードセット1, 2
PC/XT、PC/AT、PS/2と互換性を持つスキャンコードセット。DOS環境の既定ではキーボード側はスキャンコードセット2で、マザーボードのキーボードコントローラー内部でスキャンコードセット1のスキャンコードに変換される。ソフトウェアからキーボードコントローラーを制御することで変換を無効にもできる。
Pause/Breakキー以外は全てタイパマティック。全てブレークコードあり。
スキャンコードセット3
3270端末エミュレーター用のスキャンコードセット。
文字キー、半角/全角、タブ、スペース、Enter(中央)、Backspace、Delete、方向キー、テンキーの+はタイパマティック。それ以外は非タイパマティック。Caps Lock、左Shift、左Ctrl、左Alt、右Shiftはブレークコードあり。それ以外はメイクコードのみ。スキャンコードセット3に限り、これらの動作はソフトウェアで各キーごとに設定できる。
テンキーの中で+キーだけタイパマティックになっているのは謎(端末エミュレーション絡みの何か?)だが、これはOADGテクニカル・リファレンスの仕様通り。