210502 SB AWE64 ゲームポートのMIDI出力不良を直す
Sound Blaster AWE64 Value (CT4520) のゲームポートにMIDI音源を繋いでもデータが送られない症状を修理。写真は大きさ比較のためカセットを並べている。
→ 200312 SB AWE64 MIDI出力が壊れた? - Diary on wind
昨年、こんな記事を書いていたが、ケーブルを予備の物に変えてもダメで、ソフトウェア的には問題ないだろうと言うことで、原因は分からず終いだった。最近、サウンドカード本体を取り外す機会があったので、改めて基板をまじまじと見てみると、疑わしい箇所を見つけた。その部分の回路は細かくて肉眼で見るのは大変で、今までよく調べていなかった。かと言って、わざわざルーペを買うほどの気力はなかった。しかし、今はデジカメという文明の利器がある。
R80という刻印に置かれているチップ抵抗のようなものが真っ二つに分かれている。他を見渡してみてもここだけ異常だ。ただ、この部分は私が5年以上前にこのカードを中古で購入したときから、この状態だったと思う。そう思って過去の記事を見返すと、2016年の写真でも同様にチップが割れている。
→ 161014 SB AWE64 電源ラインのCap交換 - Diary on wind
この時からMIDIが動作不良だったかどうかはよく覚えていない。でも、見た目で故障原因として疑わしいのはここだけであり、ここが問題ないのであればチップセットの故障くらいしか考えられない。
チップ抵抗についてよく知らなくて、1kΩくらいの抵抗かと思ったのだが、刻印をよく見ると「160」?いや、「1R0」だろうか。
「1R0」というのは1.0Ωという低抵抗のチップ抵抗器らしい。この一次側はISAバスのB3ピン (+5V電源) に繋がる。二次側は1kΩチップ抵抗を通して信号線に繋がっているラインと、ゲームポートの1番ピンや8番ピンと直で繋がるラインがある。前者はプルアップ抵抗で、後者はゲームポートに割り当てられている+5Vの電源ラインだろうか。ということは、R80にある1.0Ωの抵抗はプルアップ抵抗というより短絡保護(電流制限)のための抵抗だろうか。
ゲームポートに接続されるMIDIケーブルはケーブル内に集積回路を埋め込んでいるらしく、その回路を駆動するために5V電源が必要になる。今はここが繋がっていない状態であるため、+5Vが供給されない状態にある。そうなると、信号が出力されないのは当然だ。
1Ωなんて低い抵抗値の抵抗器は持っていない。はんだで短絡してしまうのもありだけど、安全策か何かしらの考えがあって抵抗を付けていたのだから、それをねじ曲げたくない。かと言って、これのために部品を買うのも何だかなぁ、と思いながら、不要な基板や機器がないかと探していたら、見つけた!いつ捨てようかと思っていたUSB扇風機の中に、丁度良いものがあったのだ。
3つある抵抗器は低いものでも56Ωと、オリジナルとの差が大きい。ただ、手前にある茶色のセラミックコンデンサみたいな物体は、基板に「F1」という刻印がある。K60X025で調べると、中華製のヒューズらしい。ヒューズなら丁度良い抵抗になるんじゃなかろうか。
早速、基板から外してテスターで抵抗を測ると、約2.5Ω。当たりだ。元々USB 5V電源の保護に使われていたものだろうし、行けるだろう。
基板のR80のところにこのヒューズをはんだ付けする。
5Vラインとゲームポートの1ピンとの抵抗値を測る。また、ケーブルを繋いだまま各ピン間の導通や短絡の異常がないかチェックする。
Windows 98を起動し、コントロールパネルの「マルチメディアのプロパティ」からMIDI出力先を「AWE64 MIDI Out」に変更しておく。
ゲームでMIDIを再生したら、手持ちのSC-88から音が出た!異常なし!これでMIDI再生開始時の妙なラグに悩まされずに済む。やったぜ。